運送物流業情報ラボTransportation Logistics Information Lab

運送業者が交通事故を起こすその要因とは?

2016.10.20
分類:その他

自動車運送事業者などが交通事故を起こしてしまうその多くは、運転操作のミスなど人的要因による過失が原因です。その過失の背後には、認知、判断、操作という一連の運転操作の流れの段階で運転者が誤った判断を行うに至る車両構造や走行環境、運行管理といった様々な問題が存在します。

 

 

実際の事故原因のデータは?

警察庁による「平成27年における交通事故の発生状況」によると、交通事故が起きる原因として安全不確認、脇見運転、動静不注視、漫然運転などが挙げられています。安全不確認による事故は、平成27年で155,446件となっており、交通事故全体の発生件数の約3割という状況です。平成27年度は15年ぶりに交通事故による死傷者数が増加していることからも、交通事故を未然に防ぐ対策を立てていく必要があります。

交通事故の発生防止策

交通事故について実効できる防止策を講じるためには、事故が発生する環境を様々な角度で分析していくことが大切です。情報を収集し、運転者がミスを起こしてしまうその背後には何が要因となっているかを解明していくことが必要でしょう。さらに発生の防止策を講じる上で、次のようなことが守られているかを確認しておきましょう。

・運行管理者の選任について

自動車運送事業者は運行管理者資格者証の交付を受けている人の中から、運行管理者を選任する必要があります。運行管理者を複数選任する場合には、運行管理者業務を統括する統括運行管理者を選任することも必要です。

・運転者の過労防止策

自動車運送事業者は運転者が過労運転を行うことを防止するため、労働時間の基準に従って勤務時間と乗務時間を定める必要があります。運行管理者が定められた勤務時間や乗務時間の範囲内で乗務割を作成し運転者を乗務させることが必要です。

・自動車の点検と整備

自動車が保安基準に適合している状態を確保する必要がありますので、使用者は日常点検整備と定期点検整備を義務として行うことが定められています。

・運転者に対する指導監督の概要

運転者が遵守すべき法令に関係する事項の知識や、安全確保のための運転技能や知識を習得することを目的として、運行管理者が運転者に適切な指導や監督を行うことが必要です。

・運転者の健康管理

居眠り運転や漫然運転は、夜更かしや無理な勤務形態など睡眠不足が要因となります。さらに眠気を生じてしまう疾患などが居眠り運転に関係することもあるため、運転者の健康状態については把握しておく必要があります。睡眠時無呼吸症候群などについては、本人が気付いていないことが多く早期発見と早期治療への取り組みも必要となってきます。

交通事故を発生させないために

自動車運送業者は事業許可を取得する際に、最低車両数、教育や報告、緊急時連絡体制などについて安全性を確保することが要件になっています。そのため整備事業者など関係者にもこのことを周知させることが必要ですし、運転者が運転ミスを起こさないための取り組みがとても重要です。事故の要因を作らないためにも、今一度事故防止策について企業内で検討していくようにしましょう。