運送物流業情報ラボTransportation Logistics Information Lab

運送業で考えておきたい社会保険料の会計処理と仕訳

2018.04.27
分類:その他

運送業に限らず、健康保険料や厚生年金保険料など、社会保険料の会計処理は意外にも悩ましいものがあります。なぜなら会社が負担する分、そして従業員個人が負担する分がある上に、給料の支払いと社会保険の支払時期が混乱するなど、色々と複雑です。
労働保険料も社会保険料に含まれますが、特に健康保険料と厚生年金保険料についての会計処理について、確認しておきましょう。


会社と個人が折半して負担する
社会保険料は基本的に会社と個人が折半しますが、「児童手当拠出金」に関しては会社全額負担ですので注意しましょう。
年金事務所に支払うのは当月分を翌月末に支払うと決まっているので、例えば4月分については5月末に支払うことになります。なお、月の途中で入社した場合でも、日割計算は行わずに月額分を満額支払うことになります。
これに対して給料の支払い時期は事業所によって色々なので、自社の支払い時期と合わせて会計処理を考えて行くことが必要です。


いつ従業員の給料から天引きする?
従業員から天引きするタイミングには2つあり、当月分を翌月徴収するパターンと、当月分を当月徴収するパターンがあります。原則的中小企業で行われているのは、当月分を翌月徴収するパターンです。

・翌月徴収の場合
当月分を翌月徴収する場合、4月の給料に対する社会保険料は5月の給料から天引きされることになり、年金事務所に納付するのも5月です。
1か月遅れで徴収することになるので、新たに従業員を雇用した場合において入社月は徴収する額はなく、退職する月には2か月分の社会保険料を徴収することになります。

・当月徴収の場合
当月分を当月徴収する場合は、4月の給料に対する社会保険料は4月の給料から天引きし、年金事務所に納付するのは5月です。
新しく従業員を雇用した場合には、入社した初月から徴収となり、退職月は1か月分の社会保険料を徴収します。


徴収した社会保険料の勘定科目は?
会計処理において、従業員が負担する社会保険料は「預り金」で計上します。
会社が負担する分については、現金主義の場合には年金事務所支払時に「法定福利費」で計上し、発生主義の場合には毎月末に「法定福利費」未払計上となり、年金事務所支払時に未払取崩しとなります。


中小企業の多い現金主義での徴収の場合の仕訳例
社会保険料を翌月徴収する場合において、例えば給料が15万円、社会保険料が1万円として考えます。

4月末給料支払いでは、
「給料15万円/現金15万円」
と言う仕訳になり、社会保険料計上については現金主義のため行いません。

5月末の給料支払いでは、
「給料15万円/現金14万円
預り金1万円(4月分社会保険料)」
という仕訳となり、同時に社保支払の仕訳として、
「預り金(4月分)1万円    / 現金2万円
法定福利費(4月分)1万円          」
となりますが、年金事務所への支払は共に前月分です。


同じく当月徴収の場合の仕訳は?
同様に社会保険料当月徴収の場合において、4月末給料支払いでは、
「給料15万円/現金14万円
預り金(4月分)1万円」
と言う仕訳になり、社保計上については現金主義のため行いません。

5月末の給料支払いでも、
「給料15万円/現金14万円
預り金(5月分)1万円」
という仕訳となり、同時に社保支払の仕訳として
「預り金(4月分)1万円   / 現金2万円
法定福利費(4月分)1万円」
となりますが、年金事務所への支払は共に前月分です。