近年、他業種から介護業界への参入が多く見られるようになりました。飲食業や不動産業、保険業などを営む企業が介護施設を営む事業所を買収するといった動きが活発化しています。
運営会社となるのが本来の介護を専門とする業種でなく、例えば警備会社や保険会社、飲食事業、不動産業、冠婚葬祭互助会の会社、医療教育機関などの場合、施設選びをする方が不安を感じるのでは?と思うかもしれません。
しかし実際には、元の業種の特性やメリットを活かした介護施設運営が可能となるので、利用者の快適性や安心感につながっていることも多いようです。
実際、介護事業を専門として介護施設を運営していても、人材不足が深刻化しており必要な人手が足りていない状況です。
しかし介護施設を利用したいと考える高齢者は増えているため、今後はどのように介護人材を補っていくのか考えなければなりません。
人手不足を解消するためには、広告宣伝費を費やしながら募集をかけるといったことが多く行われているようですが、それでも介護現場で働きたいと考える希望者は集まりにくい状況です。
ただ、運営会社がブランド力や資本力の企業の場合には人材が集まりやすいので、介護人材の不足も解消されやすいと考えられます。
このような介護業界の事情も含め、新規で異業種から参入することを希望する企業も増えているのです。
たとえば高齢者向けの食品宅配サービスを行う飲食関係の企業や、働きたい方と人手を希望する企業をつなぐ人材派遣会社、人生の最後をケアする葬儀業界など、とても幅広い業界から介護業界へ参入する動きが相次いでみられます。
本来の専門分野を介護業界でも活用できる業界の参入が多いことが特徴であり、デイサービスや訪問介護などであれば設備投資と人件費以外の投資コストが少額で済むため参入障壁が低いようです。
日本は超高齢社会となり、今後も高齢者の数は増え続けます。医学の進歩により長寿化された日本では、ますます介護業界へのニーズが高まることが予想されています。
介護業界ではそのニーズにどのようにこたえていくのかが大きなポイントとなりますが、今後も他業種から新規で参入する企業が増える可能性もあります。
介護を専門として介護施設を営む運営会社にとっては、利用者や人材獲得の上での競合相手ともなることが予想されますので、大手に負けない強みをアピールできることが必要であると認識しておきましょう。