要介護者の自立支援や重度化を防止させるため、数字データなど客観的なエビデンスで認められた介護サービスを「科学的介護」です。
科学的介護は、厚生労働省で科学的に自立支援などの効果が裏付けられた介護サービスと説明しており、一般的な介護とは異なる部分が多くあります。
そこで、科学的介護の運用はなぜ始まったのか、取り入れの理由や一般的な介護との違いについて解説していきます。
医療現場でエビデンスに基づいた医療をEBMといいます。
EBM採用の医療現場では、研究や治療の積み重ねによる根拠に基づき、医療が提供しています。
その一方で介護現場の場合、介護サービスを提供することの効果は、明確な根拠を示すことができないことが問題視されていました。
提供している介護サービスが利用者にとって本当に良い影響を与えているのか判断できない状態であるといえるため、問題解決のために介護現場でもエビデンスに基づいた「科学的介護」を運用することが注目されるようになったといえます。
従来の介護では、介護者の経験値や主観で判断するしかなかったものの、科学的介護では客観的な数字により効果を測定できるようになります。
科学的介護を導入することには、次の3つのメリットがあると考えられます。
科学的介護を導入することで、エビデンスに基づいて介護サービスを提供することができるようになれば、介護を受ける方も自分に合うサービスを選びやすくなります。
どの介護職員でも同じ効果を引き出せるようになり、経験の長さや有無に関係なく、適切な介護サービス提供が可能となるでしょう。
科学的介護を導入することによって、利用者にとってどのサービスが適しているか判断しやすくなるため、生産性を向上させやすくなります。
介護職員が提供するサービスを考えなければならない時間も短くなり、負担を軽減させることも可能となるでしょう。
科学的介護を導入することにで、介護に対する理解度も向上させることができます。
介護者の主観ではなく、客観的な数字が介護サービス効果を示すため、利用者やその家族がサービスを受ける意義や意味を理解しやすくなると考えられます。
利用に積極的でなくても、具体的な効果が示されることにより、積極的利用につながる可能性があります。