日本では高齢化社会が進んでおり、今後は75歳以上の人口が急激に増えると言われています。後期高齢者人口が増えるということは、それに伴い要介護認定者も増加することが予想されるため、社会の中で介護・福祉業はますます重要な役割を担うようになるでしょう。
しかし、介護に対するニーズは高まるいっぽうで、介護・福祉業を営む事業所では今でも介護人材を十分に確保できているとは言えない状況です。介護・福祉業として事業を営む形はいろいろですが、いずれも共通したイメージとして、「きつい・きたない・きけん」の頭文字をとった「3K」、それに加え「くらい・くさい」という「5K」というネガディブな印象が強く、自分では勤まらないと考えてしまう方も多いようです。
そのため、求人募集を出しても応募が集まりにくく、資格が必要な場合などは有資格者を見つけるのも一苦労という状態に陥ってしまいます。
規模が小さい介護・福祉業を営む事業所の場合、資金力に乏しいことで人件費にそれほど多くの予算を充てることができない場合もあります。
専門的な知識や技術を要求され、命を預かるといった責任も大きい仕事であり、さらに心身にも負担がかかることが介護職の特徴です。
それなのに、そのリスクや負担に見合う待遇ではないと感じる方も少なくないため、いざスタッフを雇用してもすぐに辞めてしまうなど、離職率も高くなってしまいます。
さらに小規模の事業所の場合、契約社員やパートという雇用形態で雇うことが多く、安定性を確保できないこと、さらに稼げないという理由で敬遠されやすくなるようです。
しかし、このような状況で人材を確保しにくい介護・福祉業を営む事業所のために、国も再就職準備金貸付事業により、離職した介護職員を対象とした再就職準備金の貸付制度などを設けています。
また、修学資金貸付制度などでは、介護福祉士や社会福祉士養成校に通う方が融資を受けることが可能となっています。
実際に働きだした後でも、事業所が職場環境の改善やキャリアアップに必要な計画書を自治体に報告することにより、給料の上乗せ費用が介護報酬にプラスされるという仕組みもあります。
上乗せされた分は必ず介護職員の給料にプラスしなければならないと決まっているので、介護職員の給料を上げるために有効な手法として利用できるはずです。
もし人材不足で悩みを抱えている介護・福祉業を営む事業所などは、必要な人材を確保するための環境が整備されていると知っておくとよいでしょう。