2019年10月から消費税率が8%から10%へと引き上げとなり、消費者の負担も大きくなっている状況ですが、介護施設の控除対象外消費税負担も増えることとなりました。
ただでさえ厳しい運営状況の中の消費税増税による影響など、介護施設で働く介護職員の処遇は改善されない状況が続いてしまうことになりかねません。
そこで、この消費税増税による負担を補填するために、介護報酬のプラス改定が実施され、さらに経験や技能を保有する介護福祉士を中心とした処遇改善を目的とする特定処遇改善加算が新しく創設されました。
従来からの加算制度だった介護職員処遇改善加算とは、介護職員の賃金を向上させることを目的としている制度であり、介護報酬に加算分を加えることで給与をアップしてもらうという仕組みです。
加算を取得した事業所は、加算された金額分、賃金を改善させなければならないとされています。
加算率は事業所のサービス区分だけでなく、キャリアパス要件と職場環境等要件という算定要件により決まります。要件を多く満たしている事業所には高い加算率が適用されることになっています。
そして2019年10月から新しく加わった介護職員等特定処遇改善加算。これは、技能や経験を保有する介護職員の処遇を改善することが目的です。
こちらも介護報酬をさらに加算し支給することになりますが、勤続年数 10年以上の介護福祉士の場合、月額平均8万円相当の処遇改善を行う方針での制定となりました。
既存の処遇改善加算に上乗せで介護報酬が加算されますが、適用される加算率は2段階に分かれ、その他の加算要件の有無で変わってきます。一定の取得要件を満たすことにより、勤続10年以上の介護福祉士が働いていない事業所でも加算取得は可能です。
なお、技能や経験を持った介護職員への処遇が改善されることが目的ではありますが、加算された分はすべて勤続年数が長い介護職員に配分する必要があるというわけでもありません。
ただ、技能や経験のある介護職員の処遇改善が優先されるように、経験や技能を保有する介護職員の平均引き上げ額はその他の介護職員の2倍以上にしなければならないといった細かなルールも設けられています。