介護施設で従業員を雇用しているものの、事情があり解雇したい場合には、労働契約法のルールを守ることが必要です。
そこで、介護事業者から従業員に対し労働契約終了を伝える解雇をするときには、どのようなルールがあるのか説明していきます。「解雇」とは、使用者からの申し出で一方的に労働契約を終了することです。
使用者が労働者に対し、退職を進める場合は「退職勧奨」となるため、解雇とは異なります。
介護スタッフを雇用する側である介護事業者は、自由にいつでも従業員を解雇できるわけではありません。
客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められることが必要と労働契約法でも定められています。
一般的に従業員の解雇は、次の4つのルールに沿って行われます。
・解雇が認められる社会通念上相当な理由
・就業規則の解雇事由
・30日前の解雇予告
・解雇理由証明書の交付
それぞれ説明していきます。
従業員を解雇するときには、解雇が認められる社会通念上相当な理由が必要です。
原則、次のような期間においては、法律で解雇は禁止されています。
・業務上災害のため療養中期間とその後30日間
・産前産後の休業期間とその後の30日間
従業員を解雇する場合、就業規則に解雇事由を記載しておくことが必要であり、規定していない場合や記載されていない理由で解雇することはできません。
従業員を解雇する場合、たとえ合理的な理由がある場合でも、30日前に解雇を予告することが必要です。
予告せず即日解雇した場合などは、30日分以上の平均賃金を「解雇予告手当」として支払うことになります。
従業員を解雇する場合において、なぜ解雇されるのか理由を記した「解雇理由証明書」を労働者から請求された場合には、すみやかに交付することが必要です。
使用者がルールに従わず労働者を不当解雇した場合、納得できない労働者により、次の3つのデメリットが発生する可能性があります。
・示談(話し合いで解決)が必要になる
・労働審判(特別な裁判所手続)の対象となる
・民事訴訟(労働者の訴状提出から判決まで1年以上かかる裁判)に発展する
示談交渉が成立しなければ、労働審判・民事訴訟へと段階を踏むこととなり、先に進むほど時間・労力・費用は膨大なものになると考えられます。