介護現場では、利用者のプライバシーや個人の尊厳を尊重することはとても大切です。介護事業者も肝に銘じて介護サービスを提供することが必要ですが、同時に介護スタッフも利用者のプライバシー保護を徹底して行うことが必要となります。
厚生労働省でも、介護事業者の個人情報の適切な取り扱いについて、プライバシー保護は徹底して行うことを義務づけています。
介護職の場合、介護福祉法により秘密保持義務が定められているため、正当な理由もないのに業務に関する秘密や利用者のプライベートな情報などは漏らしてはなりません。
労使間の契約書にも、次のような内容で業務に関する秘密や利用者のプライベートを漏らしてはならない旨を記載しておくことが必要です。
・知り得た情報の他言は秘密保持業務違反に抵触する
・必要のない関心や介入、嘘や陰口などは禁止
・施設全体で責任をもって個人情報(記録書)を扱い徹底した管理を行うこと
・個人のものを勝手に見てはいけない(必要な場合は本人の同意を得る)
・利用者の悪口や愚痴を職員同士ですることは不誠実な対応になるため禁止
・私的感情による個人的な訪問などは避ける
利用者の生活・身体・精神などに関係することは、介護の現場では多いといえます。
常にプライバシーや個人情報に接触しながら、介護サービスを提供しなければならないとことを介護スタッフに意識してもらうことが必要です。
特に衣類の着脱が必要となる入浴や排泄などの介助は、普段は人に見せない部分を他人に見られる行為です。
利用者にとっては抵抗がある部分であるため、十分に配慮することは欠かせません。
また、抱えている病気や障害、家族構成や個人的な内容を外部に不用意に漏らす行為は、利用者に不信感を与えるだけでなくプライバシー侵害に該当します。
もし介護スタッフが退職する場合にも、それまで得た情報については第三者に漏らさないように徹底することが大切です。
介護現場では利用者のプライバシーを尊重することに加え、高齢者をサポートする上での配慮が必要です。
介護を受ける高齢者には、精神的に苦痛を与えることなく安心してケアを任せてもらえるように、常に介護現場で考えながら行動することが求められます。
そのためにも介護スタッフと利用者との信頼関係の構築は欠かせず、プライバシーマナーを意識した接し方が必要不可欠といえます。