介護施設を利用する高齢者やその家族が、必ずしも十分な資金を持っているとは限りません。
経済的な負担に限界があると感じている方も少なくないといえますが、高額介護合算療養費制度と高額介護サービス費制度により、負担は軽減できます。
制度を知らなければ、施設入所後の経済的負担を懸念し、介護サービス利用をあきらめてしまう可能性もあります。
そこで、介護施設利用者と家族の経済的な保障制度について、高額な費用負担を軽減できる仕組みを解説していきます。
「高額介護合算療養制度」とは1年間で負担した医療保険と介護保険の自己負担の合算額が高額だった場合に、自己負担額を軽減する制度です。
申請手続をすれば、負担額の一部を払い戻してもらえます。
介護保険サービスを利用したときや、国民健康保険で通院したときなど、合算額には上限となる基準額が設けられているため、上限の基準額を超えた金額は請求により返還されます。
ただし介護保険や国民健康保険の自己負担の基準額は、要介護者の年齢や収入で細かく分けられているため、確認が必要です。
「高額介護サービス費制度」とは、1か月に支払った利用者負担額の合計が、負担限度額を超えたときに超過分を払い戻す制度です。
支給対象は以下のサービスを利用したときの負担額です。
・自宅で暮らしながら利用する「居宅サービス」
・施設に入居して受ける「介護施設サービス」
・住み慣れた地域で生活し続けるための「地域密着型サービス」
1か月にかかった介護保険の自己負担額が高額の場合は「高額介護サービス費」が適用され、医療保険の自己負担額が高額であれば「高額療養費」が、申請することでそれぞれ支給されます。
「介護休業給付金」とは、雇用保険の被保険者のうち、一定条件を満たす方が職場復帰を前提として家族を介護する目的で介護休業を取得したとき支給される給付金です。
介護休業開始日の前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある月が12か月以上なければ支給されません。
家族の介護を必要とするときには仕事を休まなければならないこともあります。
休業開始から93日を限度として、休業開始時点の賃金の67%(上限あり)の受給が可能な制度で、申請は原則、復職した後で行います。
介護休業期間が3か月以上に渡るときは、介護休業の支給単位期間分(最大3か月)をまとめて申請することになります。