家族の介護に疲れてしまった方が、要介護者を殺害後に自殺してしまうといった痛ましい事件が起こることもあります。
自宅で家族につきっきりで介護をすることになれば、収入も途絶えるだけでなく人とのコミュニケーションも遮断されます。
過酷で孤独な介護の現状の中、誰にも相談できず苦しい状況から逃れようと、心中しようと事件を起こしてしまうことがその背景です。
介護を巡る事件が起こる背景には介護者の介護疲れが関係しているといえますが、心中など痛ましい事件を起こさないために必要なことを考えてみましょう。
「介護疲れ」とは、介護による身体・精神・経済的な負担が重くなり、心身に不調をきたす状態です。
疲れが溜まり、介護うつなどになれば、倦怠感を通り越して無気力や自殺願望といった深刻な状態になる恐れがあります。
民法では、配偶者や直系血族(祖父母・父母・子・孫など)、兄弟姉妹に対し、未成年・高齢・障害・病気・失業など経済的に自立できないときの扶養義務を課しています。
当然、家族であることを理由に、必要な資金の援助を自発的に行うケースは多々あります。
しかし扶養する経済的な能力もない状態で、無理に扶養しなければならないわけではありません。
扶養義務がある場合でも、親などを引き取って同居し、介護することを強制されてしまうと、仕事を続けることができず介護離職しなければならないケースも発生します。
社会からも孤立し、親を虐待したり殺害したりといった痛ましい事件に発展する可能性も否定できないため、扶養は努力義務であり強制義務ではないとされています。
子が親の世話をするのは当然と考える方も少なくないため、親の介護を義務ととらえるケースもあるでしょう。
しかし親の介護を引き受けたことで、共倒れしてしまうことのないように、家族で役割分担することも必要です。
直接ケアを行う人や、経済的な支援する人など、分けることで不公平感をなくすこともできます。
強制されず任意だからこそ、親族同市の調整がより重要といえます。
施設に入所せず、在宅で介護サービスを利用するケースも増えていますが、この場合には地域密着型サービスの定期巡回訪問介護・夜間対応訪問介護・認知症対応の共同生活介護などの利用を検討しましょう。
家族がすべてケアをするのではなく、利用できる居宅サービスや地域密着型サービスを積極的に活用することで、負担軽減につながります。