介護事業者が気になるのは、新型コロナウイルス感染拡大など、感染症により介護施設でクラスターが発生してしまうことです。
冬場にはインフルエンザなどの感染症も流行することが多いですが、なぜ高齢者は感染症にかかりやすいのか、どのような感染症に注意が必要なのか把握しておきましょう。
高齢者は、若い世代の方よりも免疫力が低下しているため、感染症リスクは高くなりがちです。60歳を超える方の免疫機能は20代の約半分以下といわれており、加齢により免疫を主導する白血球(T細胞)が生み出される数は減少し活動も低下します。
T細胞の成長を助けるリンパ節や脾臓の機能低下で病原体への反応が弱くなってしまうため、病原体の影響をそのまま受けることになってしまいます。
高齢者が感染しやすい感染症として、具体的に次のような種類にものがあります。
もし感染した場合には、菌血症や敗血症になり生命にかかわるリスクも高くなるため、適切な感染対策を行うことが必要です。
インフルエンザウイルスによるもので、38℃以上の高熱・筋肉痛・関節痛・強い倦怠感などが症状の特徴です。
慢性疾患のある方の場合、インフルエンザの合併症で肺炎を起こしてしまうと重症化するため注意してください。
細菌やウイルスなどの病原体による胃腸炎であり、病原体の1つといえるのがノロウイルスです。貝類の加熱が十分でないときや、生のまま食べてしまうことで感染することが多く、手や食器にウイルスが付着すれば接触感染します。
激しい嘔吐と下痢が主な症状で、便や嘔吐物から飛び散ったウイルスを吸い込んでも感染してしまいますので適切な対処が求められます。
免疫は短時間しか効果がないため何度でも再感染することが特徴であり、脱水管理や誤嚥防止といった対症療法しかありません。冬季に流行することが多いため、注意しておくようにしてください。
多くは尿道口から菌が侵入することで、尿が濁り残尿感や排尿痛などで気がつくことが多く、膀胱・尿道・尿管・腎臓など尿の通り道に感染を起こすことです。
加齢による疾患で尿路の防御機能が低くなっているため、尿路感染症を起こしやすく再発しやすいといえます。
特に寝たきりの方などは、オムツ交換まで時間がかかると細菌が増殖しやすくなり、尿路感染症になりやすい状態と認識しておく必要があります。