近年、異業種から介護分野へ参入する事例が増えてきたといえますが、大企業が介護施設を開業しても失敗してしまうケースも見られます。
資金力が十分といえる大企業でも、異業種への参入は簡単なこととはいえないですが、現在でも共創による新たな価値創造を目指す動きは広がり続けています。
大企業が直接的に介護施設を運営する以外にも、介護用品のベンダー・開発メーカー・流通小売業などが施設入所を取り次いだり相談対応したりといったケースもあり、間接的に介護分野へ参入する大手企業も増えつつあります。
そこで、介護事業を開業する大企業が失敗する理由について、異業種参入の背景とあわせて解説していきます。
近年、異業種から介護事業へと新規参入する事業者や企業が増加傾向にあるといえます。
例を挙げると、建設業の得意分野といえる住宅のバリアフリー化などを活かした介護事業への参入や、飲食業の食事提供のノウハウを活かした介護施設経営などです。
他にもセキュリティ会社が、高齢者の一人暮らしでも安心の住宅提供や施設経営をするといったケースが見られます。
本業以外の事業を展開することによる相乗効果が期待できることが理由といえますが、競合との差別化も強化されるため、利用者を獲得しやすいといえるでしょう。
そもそも介護事業は季節や景気などに左右されにくいため、繁忙期などがある事業を本業とする企業では、既存業種と介護事業の二本立てで安定した経営につながるとも考えられます。
介護業界へ異業種などが参入する例が増えつつあるといえますが、特に大企業や有名企業にその傾向が見られます。
しかし、本業とのシナジー効果を期待したものの、実際には失敗してしまったケースも少なくありません。
なぜなら介護事業で対象となるのは80歳以上など一部の高齢者です。
介護事業以外で80歳以上の年齢層に特化した商品やサービスを提供している企業はほとんどないといえます。
そのため高い知名度や何十万人もの顧客名簿など、本業による強みや財産が介護事業で活かしきれないケースが多いといえるでしょう。
また、介護施設の利用者獲得に向けた営業、地域のケアマネジャーを訪問して紹介してもらう方法などがメインです。
しかし大手企業ではこまめに足を運ぶ営業スタイルは苦手であり、まとめてチラシをポスティングするといった方法へ走りがちといえます。
本来、大企業なら知名度が高く安心というイメージです。
介護業界では大企業のメリットが、人材雇用において福利厚生が安定している部分以外では活きにくいといえるでしょう。
その点を理解した上で、介護業界へ新規参入することを検討する必要があります。