東京商工リサーチの2024年1月17日公表した調査結果によれば、介護事業者の倒産件数は過去2番目に多いとされています。
休廃業・解散に関しては、過去最多の510件で、人手不足や物価高による訪問介護の倒産は最多を更新中です。
介護事業を取り巻く環境が厳しくなったといえますが、なぜこのような深刻な状況となっているのでしょう。
そこで、介護事業の倒産件数について、人手不足や物価高による現状を紹介していきます
介護現場は、人手不足が慢性化しているといえますが、特にヘルパーなどの不足や既存スタッフの高齢化が深刻な問題となっています。
2024年度の介護報酬改定により、職員の賃上げなど、処遇改善が進むことが期待される一方で、他業界との人材獲得が激化し人手不足が解消されない状態が続いているようです。
2024年は、小・零細事業者の倒産や休廃業・解散がさらに増えることが予想されます。
2023年の「老人福祉・介護事業」の倒産は122件で、過去2番目に多いとされています。
さらに「訪問介護事業者」の倒産件数は過去最多を大幅に上回り、67件に達しました。
事業停止した介護事業者の、休廃業・解散については510件で、こちらも過去最多を記録する結果となりました。
以下の項目ごとに、それぞれの倒産件数も確認しておきましょう。
・業種別
・従業員数別
・原因別
・形態別
それぞれ説明します。
業種別で見た倒産件数は、「訪問介護事業」が67件で急増しています。
2000年以降の最多だったのは2019年の58件だったため、上回る結果となってしまいました。
ヘルパー不足や燃料費高騰などが影響した結果と考えられます。
従業員数別で見た倒産件数は、5人未満の75件が最多でした。
5人以上10人未満は27件、10人未満が102件と、小規模事業者が大半だったようです。
反対に規模の大きな50人以上300人未満の事業者は3件で、300人以上の事業者では倒産は発生していません。
原因別で見た倒産件数は、大手事業者との競合や人手不足による利用者減少などが原因の「販売不振(売上不振)」が92件で最多でした。
次に多かったのが「他社倒産の余波」で、他にも代表者の死亡といった原因などもあったようです。
形態別で見た倒産件数は、破産が117件で全体の9割超を占めています。
民事再生法が次に多いものの3件、特別清算は2件という結果でした。
消滅型が119件で、再建型はわずか2.4%にとどまっています。