介護施設利用者の中には、配偶者や子、親戚などもいない身寄りのない方が含まれることもあります。
しかしその身寄りのない利用者が介護施設に入所中亡くなり、相続が発生したときにはどのような対応が必要となるでしょう。
そこで、身寄りのない介護施設入所者が他界した場合の相続における対処法について紹介していきます。
介護施設に入所中の身寄りのない利用者が亡くなった場合、身元引受人がいなければ、誰が遺体を引き取り、火葬や埋葬を行うのでしょう。
また、施設利用料の未払い分について、誰に請求すればよいかわかりません。
入所中の遺留品についても、勝手に処分するわけにはいかず、対応に困ることが予想されます。
多くの場合、身寄りはなくても成年後見人などがいれば、その成年後見人が身元引受人と同じように対応してくれるでしょう。
成年後見人などがいない場合には、以下の3つについて検討が必要です。
火葬等の依頼先
未払いの利用代金の請求先
遺留品の引き継ぎ先
それぞれ説明します。
墓地・埋葬などに関する法律では、死体の埋葬や火葬を行う者がいないとき、または判明しないときには死亡地の市町村長が行います。
費用は亡くなった方の遺留金品などを充てることになり、足らない分は市町村が負担することになるようです。
また、身寄りがある方や相続人がいる場合でも、遺体の引き取りを拒むケースでは同様の扱いになります。
成年後見人もおらず、相続人が不存在または不明なケースにおいては、亡くなった方の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に相続財産管理人を選任する申立てを行うことになります。
相続財産管理人に未払い分の施設利用料を請求し、回収する流れです。
ただし相続財産管理人を選任する場合、申立人が裁判所に予納金を納めることが必要となるため、亡くなった方の所有する財産や未払いとして残っている施設利用料など勘案した上で検討していくこととなります。
遺留品とは、亡くなった方が遺した品物ですが、基本的に相続人に引き取る権利があります。
しかし身寄りがなく、相続人がいない場合は、引き取り先がありません。
この場合でも、施設が遺留品を処分することはできず、相続財産管理人に遺留品を引き継ぐことが必要となります。