フランスでは75 歳以上の方のうち、男性の2割程度、女性は5割程度が独居高齢者です。ただ独身の方の場合でも、介護施設などに入所すればサービスとして提供される介護を受けることができるでしょう。
要介護度などの高齢者特性や経済状態などに応じたいろいろな介護施設が整備されてはいますが、在宅介護においても在宅入院や受け入れ家庭制度といったが高齢者の在宅ケアを支えるサービスを利用できます。
フランスは医療と介護が別々の枠組みで発展したことから、両者が連携するためにはいろいろな課題をクリアしなければなりません。
フランスの高齢化が始まったのは日本より早いですが、高齢化のスピードは遅いと考えられます。
フランスの国立統計経済研究所INSEEが公表している調査結果では、他人の介助を要する方は2030年120 万人、2040年には130 万人になると予想されています。
フランスには日本のように障害を持つ高齢者を対象とした介護保険制度は設けられていません。
ただ、2002年に創設された個別自立手当(APA)では、いろいろな扶助制度に分割されていた制度を統合し、利用者が使い易くなったといえます。
制度の管轄は県が主体で行っているようですが、APAは支援を必要とすると認定された高齢者すべてが対象です。
要介護のレベルは全部で4段階に分けられており、まったく自律できないGIR1から、支援を必要とするまた一応自立が可能となるGIR3・GIR4まであります。
フランス社会省の公式サイトよる個別の自立手当ての上限額は、GIP1が日本で月額約14万8千円相当となる1,288ユーロ、GIR4の552ユーロとなっています。
ただしこれはあくまでも理論上の上限金額なので、実際には所得に応じた自己負担率が適応されることになります。
支給される手当ての財源は租税が中心となっており、県の一般財源や社会保険一般拠出金、年金基金なども財源に含まれているといえます。
APAが対象とするサービスは、日本の介護保険と同じく要介護のレベルに応じて決められることになります。また、高齢者医療に関する特別の制度などはないので、一般的な医療保険制度がカバーしている状況です。
高齢者を対象とした施設は民間の有料老人ホームなどが主であり、自立の方を対象としている老人住宅、支援を必要とする方が対象の医療付きき老人ホームに大きく分けられます。
民間の有料老人ホームは資金面などに余裕がある方が入る施設なので、サービスや料金の設定は自由と考えられています。