認知症の家族を抱えていると、介護者は心身ともに大きな負担を感じることになります。
記憶障害や不眠、徘徊など、元気なときには見られなかった症状があらわれることで、常に目が離せない状況となるからです。
そのため、認知症の方を介護する場合には、家族が介護疲れにならないための心得を押さえておくことが必要といえるでしょう。
日々の生活に支障をきたすことのないように、介護疲れが深刻化しないよう心や身体の負担を軽減できる工夫を取り入れることが大切です。
そこで、家族が介護疲れにならないための認知症介護の心得について簡単に解説していきます。
認知症の方の症状は人それぞれですが、家族が介護疲れを感じやすくなる理由として、以下のような症状が見られるからといえます。
・一日中同じことを繰り返す
・夜中に起きて探しものをする
・失禁する
・暴言や暴力をふるう
・徘徊する
介護者も家事や仕事をすることが必要であれば、たとえ家族間で交代制にしていても、対応しきれなくなると考えられます。
そこで、公的・民間含めて利用できる外部の介護支援サービスを活用しましょう。
65歳以上の高齢者であれば、要介護状態や要支援状態と認定されることで、介護保険の適用のもと介護支援サービスの費用負担を軽減できます。
認知症だから仕方がないと、諦め気分で認知症の方の言動に耐え続けていても、要介護者のストレスが溜まり続けるだけです。
蓄積したストレスがいずれ怒りとなって爆発しないように、誰かに相談したり話をきいてもらったりといったことも必要といえます。
また、担当する役割を分担し、家族で共有することで多少はストレスも軽減されるでしょう。
認知症の方の想定していない言動などは、本人なりの理由や背景が存在することがほとんどです。
そのため頭から否定するのではなく、なぜその行動を取るのか、どのような背景から発する言葉なのか分析しましょう。
理由や背景などが見えてくることで、適切な対応や判断がしやすくなります。
認知症の進行度は個人差があるため、他と比べて一喜一憂しない方が賢明です。
認知症の方の介護を続けていると、「介護うつ」を引き起こしてしまうことがあります。
不満や悩み、愚痴などを誰にも言えず、一人で抱え込んでしまうケースにおいて多く見られるのが介護うつです。
介護サービスなどに頼らず、家族の面倒は自分でみなければならないと、抱え込みがちな真面目な方ほど精神的に追い詰められてしまいやすいといえます。
家族の介護が必要になったとき、介護サービスを利用することはけっして人任せにすることではありません。
すべてのケアを家族が担当する必要はなく、介護サービスを有効に利用してできない部分や難しい部分はサポートしてもらうことも必要です。