介護施設はいずれ、作業が効率化された物流倉庫内のような形になってしまうのでは…といったことが懸念されています。
Amazonなど、ECサイトで商品を扱う企業は倉庫内の作業をできるだけ効率的に行えるように、様々な工夫を行っています。
しかし介護施設と物流倉庫が似た状態になってしまうとはどのようなことなのでしょう。
このままでは介護施設が物流倉庫の倉庫内作業と同じように、効率化を重視するだけの状態となり、入居者や介護職員の生きる力を奪ってしまうのではといった不安の声がきかれることもあります。
なぜそのような不安の声が出ているのかというと、たとえば介護施設では付き添ってあげれば歩行可能な利用者にも、車いすを強要するケースなどがあるからです。
もちろん介護施設側は、無理に自分で歩いてもらうよりも、事故を防ぐために車いすを使ったほうが安全だからと考えるからでしょう。しかし、自らできることを奪ってしまうと、利用者の介護度は悪化してしまうこともあります。
そのため介護施設に入居したことで介護状態が進み、老化や症状を促進させてしまっていることもあるようです。
介護職員は人手不足の中で働いています。一人ひとりのスタッフにかかる負担は大きく、重労働に過重なストレスなどが積み重なっている状態といえるでしょう。
そのストレスが利用者に向いてしまえば虐待行為などにつながってしまうため、防ぐために高齢者虐待防止法も制定されています。ただ、この法律では条件を厳しく規定されているものの、介護職員がよかれと考え行った行為でも法的に虐待に該当することもあるのは問題といえます。
たとえば認知症の高齢者は自分で立つことができないこともありますが、認知症の利用者に座ってもらった椅子を動かないよう介護職員が工夫したとします。
しかしこれは法的には拘束したことになり、違法という扱いです。虐待だと叩かれてしまうのでは、介護現場で働くスタッフのほうが手足を縛られている状態になってしまうと考えられるでしょう。
重労働・低賃金・人材不足などの問題を解決しなければ、介護施設で質の高いサービスの提供はかなわないもので終わってしまいます。
中小の介護施設で生産性向上は不可能であり、大手に吸収合併され労務管理が徹底された中で介護サービスを提供しておくなど、効率化された物流倉庫内の作用のように見えるという声も挙がっています。
このままでは介護崩壊してしまうという不安を解消するためにも、今何をするべきか国は早急に答えを出さなければならないときが来ているといえます。