介護サービスを利用している方の中には、企業で経営者として活躍していた方などもいますが、事業承継に関する悩みを抱えていることも少なくありません。
経営者の高齢化に伴って、会社を引き継いでくれる後継者という存在は重要となるのに対し、後継者不足などを理由に事業承継できない状況が続いているケースはめずらしくないからです。
会社継続の上で事業を引き継ぐ後継者探しと事業承継は、避けては通ることのできないことといえますが、問題を解決できる方法について解説していきます。
「事業承継」とは会社経営を現経営者から後継者へ引き継ぐことですが、「承継」と「継承」は似た言葉でありながら、次の違いがあります。
・承継(地位・事業・精神など引き継ぐこと)
・継承(身分・権利・義務・財産など引き継ぐこと)
そのため事業承継で引き継ぐのは、経営権や資産以外に、現経営者の想いや理念、会社の文化などといえます。
中小企業では現経営者の手腕や人柄などがそのまま強みや魅力になっていることが多いため、後継者選びは見極めが重要といえます。
中小企業の後継者不足は、現在社会的な問題として取り上げられることも少なくありません。
経営者が5年以内にリタイアする可能性がある企業の中で、その半数は後継者が決まっていないともいわれています。
そのため後継者候補の見つからないまま、何も対策しなければ廃業するしかなくなる可能性もあります。
中小企業が次々に廃業してしまうと、雇用喪失や連鎖倒産などを招くことになり、社会全体に悪影響を及ぼすことになるでしょう。
大廃業時代ともいえる状況の中、中小企業の事業承継は急務の課題といえます。
十分に事業承継が重要であることは理解できていても、実際に後継者がみつからないままではどうすることもできません。
この場合、会社の顧問になっている税理士や公認会計士、取引金融機関や公的支援機関などに相談してみることも必要です。
子がいる場合でも事業を引き継いでくれるとは限らず、継いでくれるであろうという思い込みが後でトラブルになることもあります。
子がおらず後継者が未定または不在という場合には、民間のM&A仲介会社や都道府県ごとに設置されている事業引継ぎ支援センターなどでも相談できます。
第三者企業への事業承継なども選択できるため、いろいろな方法を模索しながら検討していくことが必要です。