介護業界に限らず、近年では経営者の高齢化と後継者不足で、M&Aを検討するケースが増えつつあります。
M&Aを検討する理由は主に事業承継や事業拡大などですが、条件に合った内容で手続しなければならないため、まずはどこかに相談したいという場合もあることでしょう。
そこで、そもそもM&Aとはどのような手法なのか、介護業界で相談先を選ぶときのポイントなどについて簡単に解説していきます。
「M&A」とは、「Mergers and Acquisitions」の頭文字の略称であり、会社の合併・買収などのことです。
会社または事業のすべてや一部を移転させる取引であり、次の3つの手法があります。
・合併
・分割
・買収
複数を組み合わせて行うこともありますが、それぞれについて簡単に説明していきます。
合併とは、複数の会社が1つに統合することですが、存続する1社以外を消滅させて消滅会社の権利義務すべてを引き継ぐ吸収合併と、双方の会社が一度解散して新しく会社を設立する新設合併があります。
分割とは、会社の事業の一部または全部を他法人へ引き渡すことです。
売手会社の事業の一部または全部を新たに設立する会社に引き継ぐ新設分割と、すでに設立されている別会社が対価を支払い引き継ぐ吸収分割があります。
買収とは、会社の事業の一部または全部を買い取ることです。
売手会社の事業や資産の一部または全部を買い取る事業譲渡と、株式取得により売手会社の経営権を獲得したり子会社化したりする株式取得があります。
M&Aについて誰かにまずは相談したいという場合、候補となるのは次の4つです。
・公認会計士・税理士
・商工会議所
・金融機関
・M&A仲介会社
それぞれの相談先について簡単に説明します。
M&Aに関する相談先としてまず挙げられるのが、公認会計士や税理士です。
売手会社の価値やリスクなどを調査することなど担当してくれますが、公認会計士は財務、税理士は税務に関して担当することが多いといえます。
M&Aに関する相談先として、商工会議所が挙げられます。
商工会議所は中小企業についての業務経験が豊富であり、買手企業と売手企業が中小企業で、商工会議所会員であればM&Aに関する相談・着手も無料です。
ただし商工会議所の会員になるときに費用が発生することは留意しておいてください。
M&Aに関する相談先として、金融機関が挙げられます。
銀行や証券会社などの金融機関は、ファイナンシャルアドバイザーとしての役割を担うため、M&Aに関する相談にも応じてくれることがあります。
M&Aが成立したときの成功報酬は、メガバンクなら2千万円以上、証券会社なら2千万円以上、地方銀行なら数百万円以上など費用は発生します。
M&Aに関する相談先として、M&A仲介会社が挙げられます。
ただしM&Aの仲介会社ごとに能力・経験・得意とする分野など様々であるため、ニーズに対応してくれる仲介会社を選ぶことが必要です。