高齢者施設などの介護事業者が受け入れる利用者とその家族には、家族の経済的負担を軽減する「高額介護合算療養費制度」と「高額介護サービス費制度」という保障について説明が必要です。
多くの方がこれらの制度を知らず、高齢者施設に家族が入居すれば経済的な負担が重くなると考えているものですが、その負担を減らすことが可能となっています。
「高額介護合算療養制度」とは、1年間で負担した医療保険と介護保険の自己負担額が基準額を超えたとき、その超えた分が支給されます。
介護施設や老人ホームに入居している方が、介護保険サービスを利用したときや、国民健康保険などにより病院に通院したときなどは、それらの合算額に上限となる基準額が設けられています。
そのためこの上限である基準額を超えた金額は、請求すれば返還される仕組みです。
介護保険や国民健康保険の自己負担の基準額の金額は、要介護者の年齢と収入により細かく決められています。
たとえば70歳未満の方であれば、34万円・60万円・67万円・141万円・212万円などが収入(年金など)で基準額として設定されます。
70歳以上の方は、19万円・31万円・56万円・67万円・141万円・212万円が基準額です。
「高額介護サービス費制度」とは、1か月に介護サービスを利用し負担した1割分が一定額を超えたとき、超えた分が申請により還付されます。
なお介護サービスの負担割合も収入によって1~3割に変動するため注意しましょう。
社会保障制度が充実していると、介護や医療のサービスを受けやすいですが、実際にはかなり充実しているといえます。
どちらの制度も申請し請求しなければ還付されませんので、自治体の介護保険や医療保険の窓口に問い合わせてみましょう。
他にも特別養護老人ホームで介護サービスを利用にかかった費用の1割負担と、食費や生活消耗品など費用のうち自己負担で支払った一部が、所得税の医療費控除として適用させることもできます。
入居中の家族のために負担した費用の領収書は、捨てずに保管しておくようにしてください。
その他、家族の介護が必要なときに仕事を休むこともあるでしょうが、その場合の保障制度として「介護休業給付金」があります。
要介護認定を受けた家族を介護する方が通算93日までであれば、会社に申請を出すことで育児休業給付金と同じように雇用保険から給付金が支払われます。休んだ期間の経済的な保障を受けることもできるため、有効活用してもらうことをおすすめします。