モノやサービスを買うとき、どのくらいの費用がかかるのか見積もりを出すことは一般的ですが、建設業の単価は見積もりしにくいといわれています。
その理由として、それぞれの建設物が唯一のものであるため、使用する材料なども建物ごとに違うからです。
また、建築などに関わる職人についても都度異なることなども、見積もりしにくい理由として挙げられるでしょう。
そこで、建設業の単価は見積もりしにくい理由と背景について、簡単に解説していきます。
建設業の材料は、どのような建築物や建物を建てるかによって、それぞれ異なります。
そのため材料の価格を求めるときに困ることも少なくありませんが、一般的な建設材料の価格は、物価変動に合った建設物価や積算資料などを参考にします。
労務単価(人件費)に関することも刊行物に記載があるため、参考にするとよいでしょう。
たとえば1日あたりのとび職人・鉄筋職人・大工などそれぞれ職種ごとの単価が掲載されています。
また、公共工事を設計するときの労務単価は、国土交通省が刊行物や入札状況などを考慮した上で決定し公表しており、国交省のホームページで確認することができます。
参考:国土交通省 公共事業労務費調査・公共工事設計労務単価について
http://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bt_000217.html
特殊材料を使う場合や、建造物で特別な仕様を用いるときには、素材を作る各種メーカーから見積もりを請求して試算することになります。
一般的な材料を使うときより高い金額になることが多く、工事費自体も高額になりやすいといえます。
公表されている建築単価については、毎月見直しされています。
鉄筋工や型枠工などの労務費は、需要と供給によって変化が大きく、時期・地域・景気などにも左右されます。
全国的に建設需要が高いため、人件費は高騰傾向にあるといえます。
そのため数年前の金額を提示しても工事を引き受けてもらえないケースや、金額を上げても工事遂行に職人を確保できないといったこともめずらしくありません。
また、建築物で公表された単価を使用できるのは躯体工事(柱・梁・床など)までです。
建具やカーテンウォール、内装の工事については仕様や形状が建物ごとで異なるため、メーカーからの見積もりを取って工事費を算出することが必要になります。
躯体工事までの費用については、工事費全体の3~4割程度になるため、半分以上は見積もりを出してもらった上での工事費の算出が必要です。