公共工事における「ゼロ債務負担行為」とは、新年度の工事に対し、現年度に予算額ゼロを設定して入札契約手続を現年度中に行い、年度内または新年度の早期着工を可能とするものです。
公共工事では、工事完成時期が年度末に過度に集中してしまいがちといえます。
そのような状況を避けるために、年度当初から計画的な発注に資することを目的として、債務負担行為の適切な活用での発注の平準化を図られています。
そこで、ゼロ債務負担行為の活用による工事・業務委託について、発注方法や保証について解説していきます。
公共工事の発注は、地方公共団体の単年度会計で新年度予算が成立した後で、入札・契約手続がスタートします。
そのため年度当初から工事着工は難しいと考えられ、閑散期を発生させることになり、年度末などに工事が集中する傾向が多いといえるでしょう。
このような状況から、施工時期などを平準化するために、単年度会計の例外として債務負担行為を設定しています。
債務負担行為とは、翌年度以降の支出を伴う契約行為のため、議会の議決を経て設定することです。
それにより、新年度の工事などの入札・契約を前年度に行い、前年度中または新年度当初の工事着工が可能となります。
債務負担行為の設定年度には前払金などの支出はゼロとなり、翌年度以降の支出になるため、「ゼロ債務」と呼ばれています。
ゼロ債務負担行為による発注方法として、前年度中に契約初年度の支出が必要のないゼロ債務負担行為を設定し、入札契約手続を行います。
それにより、翌年度開始から早々に工事に着工できるようになります。
ゼロ債務負担行為による発注方法や入札手続は、通常の発注工事と同じく公告または指名通知で行います。
発注工事の前払金や部分払は、契約年度の翌年4月1日以降に請求可能です。
税路債務負担行為の活用による工事の契約保証については、契約締結日から工期の末日までの期間が契約保証の保証期間です。
工事着手日は4月1日以降となり、着手日までは労働者確保や現場へ搬入しない資材の準備、書類作成などは行うことはできます。
ただし測量・現場への資機材搬入・仮設物設置といった準備はできないと留意しておきましょう。