建設工事業情報ラボConstruction Business Information Lab

下請けとは?元請けとの違いや関係性・重層請負構造におけるトラブルについて解説

2024.04.26
分類:経営

建設業は、元請けと下請けの存在する重層請負構造による発注・受注が慣習となっています。

 発注者から工事を直接請け負うのが元請けで、元請けから発注された仕事を請け負うのが下請け、さらに下請けから孫請けへと次々に仕事が発注されます。

 業界特有といえるピラミッドのような重層請負構造は、建設業だからこそ起こりうるトラブルの原因となっています。

 そこで、下請けと元請けの違いや関係性、重層請負構造におけるトラブルについて解説していきます。

下請けとは

 「下請け」とは、法人や個人が引き受けた仕事を、別の会社や個人が引き受けることです。

 中小企業が特定の大企業の統制のもと、仕事を受注・生産する体制を意味します。

 対する「元請け」は、建設業のおいては工事の発注元から直接工事の施工を請け負う企業などです。

 その元請けから工事に関する部分的な施工を請け負う業者が下請けであるといえるでしょう。

  

建設業における下請けと元請けの関係性

 建設業における元請けは、まず工事を発注する発注者から工事全体を請け負う立場の者です。

 元請けから工事を請け負うのが下請けであり、一次下請ともいいます。

 規模の大きな工事の場合、一次下請から次の孫請けへと仕事が発注され、二次下請・三次下請と次々に仕事が発注されます。

 このようなピラミッド型の重層請負構造は、建設業においては五次下請まで続くこともめずらしくありません。

 

重層請負で見られがちトラブルとは

 元請けと下請けの間で発生しやすいトラブルとして、金銭に関することが挙げられます。

 下請けが作業を進める段階においては、追加の業務なども必要になることはめずらしいことではありません。

 通常、元請けから受け取る工事の報酬は、完成後に支払われます。

 そのため追加の業務に対応するために、仕入などが必要になれば一旦、下請けが立て替えなければならず、手元に資金がなければ材料が不足し作業が進みません。

 前受金などを増やしてほしいと元請けに申し入れても、応じなければ泣き寝入りとなり、工事の途中で投げ出さなければならない可能性も出てくるでしょう。

 当然元請けも、工事を予定通りに完成できなくなれば、発注元から賠償請求され、信用を失います。

 このようなトラブルを発生させないためにも、双方が納得できる契約を書面で交わしておくことが必要です。

 そもそも下請けは元請けよりも立場が弱く、不利な条件で契約を押し通されてしまう可能性もあります。

 しかし双方が立場を理解した上で、納得できる契約を交わすことがトラブルを防ぐことにつながるでしょう。