日本は台風や豪雨などの自然災害が増え、さらに2019年10月からは消費税が増税となるなど、建設業界にもいろいろな影響を与えています。
物価上昇や職人不足などにより、建設工事費も高くなったのではないかといわれることもあるようですが、では10~15年前は今よりも安かったのでしょうか。
本当に消費増税などにより建設工事費は高くなっているのか、国土交通省が発表している建設工事費デフレーターという工事費統計データから、住宅にまとを絞り確認してみましょう。
国土交通省が発表している建設工事費デフレーターの工事費統計データは、2005年4月から2020年4月までのデータであり、2011年を100%として比較した内容となっています。
データには消費税が考慮されていませんが、順番に確認すると15年前の2005年4月は94.8%だったものが、消費税が増税された2019年10月には112.0%となっています。
14年半の間に17.2%上昇したことになりますが、リーマンショックの年は5%程度上昇していたので景気がどれほど悪化したのか把握できることでしょう。
2019年11月は110.7%に一旦低下したものの、12月には116.3%に一気に上昇してしまいました。
さらに2020年に入り1月には112.6%、新型コロナウイルスが話題となった2月にはイベント自粛要請などがあり、3月以降開催予定のセミナーやスクールなども延期や中止となったのも記憶に新しいところです。
3月には113.6%に上昇し、中旬以降から新型コロナウイルス感染者が増え始めました。リーマンショックの年は2月頃から上昇して1年かかり元の指数に戻りましたが、新型コロナウイルスはまだ収束しておらず、景気はどのように変動するのか気になるところでもあります。
そして2020年4月は111.7%でした。
2005年以降から2020年までの間に、それぞれの坪単価に合わせて30坪2千万円の家を建築することを考えた場合、
・2005年4月…2千万円×94.8%+消費税5%=1990.8万円(66.36万円/坪)
・2014年4月…2千万円×105.3%+消費税8%=2274.4万円(75.81万円/坪)
・2019年10月…2千万円×112.0%+消費税10%=2464.0万円(82.13万円/坪)
・2020年4月…2千万円×111.7%+消費税10%=2457.4万円(81.91万円/坪)
という結果になりました。
坪単価の上昇率を見ても、15年で建設工事費があがり今後は新型コロナウイルスの影響もでてくることが予想されています。
新築の受注を増やすことを目指すのか、リフォームやリノベーションをメインにするように変えていくのか検討が必要ですが、建設業界の関係者はこの国土交通省が公表している今後の建設工事費デフレーターにも注目したほうがよさそうです。