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建設工事業者などの建設業では会計処理に売上高ではなく完成工事高を使用

2021.01.20
分類:経営

建設工事を行う建設業者など、建設業の会計や仕訳処理は特殊な勘定科目を使います。

その中でも完成工事高という勘定科目は、工事進行基準なら収益に計上した期中出来高相当額、工事完成基準なら最終総請負高のことを指しています。

通常の会計で売上高として表示される部分ですが、他にも一般会計と異なる勘定科目がいろいろありますのでその内容を知っておきましょう。

建設業会計で用いる勘定科目

建設業では、一般的な会計処理では目にすることのないような特殊な勘定科目を用いることになります。いずれも一般的な会計処理では目にすることのない勘定科目ばかりですが、名称は違っても考え方は同じですので、どれがどの勘定科目と同じ意味を持つのか把握しておくとよいでしょう。

・完成工事高…売上高に相当する勘定科目であり、本業による収益を計上するときに使います。

・完成工事原価…製造原価に相当する勘定科目で、完成工事原価の内訳(材料費・労務費・外注費・経費)で分類します。

・完成工事未収入金…工事完成引き渡し後、発注業者に対して発生している未収分の売掛金を意味します。

・工事未払金…材料などを仕入れた取引先や外注先に対しての未払分である買掛金を意味します。

・未成工事支出金…完成工事高が計上されるまでの期間において、工事に係る原価は費用計上せず未成工事支出金でプールします。完成工事高を計上するタイミングに合わせ、完成工事原価に振り替えます。

・未成工事受入金…工事受注により、請負金額の一部を前受金として工事完成前に受け取った場合の処理で使用する勘定科目です。工事完成後は完成工事高に振り替えます。

 

建設業会計の収益の計上基準

建設業会計では、収益の計上基準について工事完成基準と工事進行基準のいずれかを選択します。

・工事完成基準…工事が完成して完成した建築物などの引渡しが行われたとき、収益と対応する原価を計上する方法

・工事進行基準…見込みの収益と原価を決算日の工事進捗度から見積り、当期の収益と原価として認識する方法

多くの建設業者などは工事完成基準を選択しており、工事進行基準を選ぶことができるケースとは、収益・原価・進捗度の3つの要素が信頼できるものであることを前提としています。

いずれにしても完成工事高と完成工事原価の工事別の利益など、内訳の把握が重要となりますので、正確に把握できるように適切な処理が必要です。