建設工事は契約金額が大きいため、代金の支払いにより企業が倒産してしまうこともあれば、現場で働く作業員の生活が影響を受けてしまうこともあります。
そのため、建設工事請負契約は適正な形で行うことだけでなく、代金支払いの適正化も求められます。
そこで、元請は下請に対しいつまでに代金を支払うべきなのか、代金支払いにまつわる様々な決まりをご説明していきます。
建設業界では元請から下請に仕事が発注される重層下請構造となっていますが、下請工事に必要な資材について、注文者が有償で支給している場合には資材代金を下請代金の支払期日前に負担させてはならないとされています。
下請工事の完成確認の検査は、工事完成通知を受けた日から20日以内に実施し、検査後に下請負人が引渡しを申し出たときは、工事目的物を直ちに引渡すことも必要です。
また、注文者から請負代金について、出来高払または竣工払を受けた場合、その支払い対象となった工事を施工した下請負人には、下請代金を1か月以内に支払わなければならないとされています。
他にも下請代金の決まりはいろいろあり、たとえば特定建設業者は下請負人(特定建設業者以外)からの引渡し申出日から起算し50日以内に、下請代金を支払うことが必要です。
また、建設業界では近年ではあまり馴染みのなくなったといえる手形が支払いに用いられることがあります。ただし特定建設業者は下請代金支払を一般の金融機関で割引に利用しにくい手形で行ってはならないとされており、手形期間も120日以内で設定することとされています。
それでも手形による支払いは、現金化まで一定の期間が空いてしまうため、資金繰り悪化の大きな要因になるといえるでしょう。
建設業法が改正されたことで、下請代金のうち、労務費負担は現金払い(振込も可)が求められます。
建設業界ではコンプライアンスを守ることは極めて重要であるため、適正な建設工事請負契約の締結・履行が必要です。
下請代金の支払期日は、特定建設業者だけでなくすべての建設業者に対する規定となっており、元請負人は下請負人に対し、注文者から出来高払いまたは竣工払いを受けて1か月以内に支払いを行うこととされています。
このことから、下請契約での下請代金の支払期日は、元請負人と注文者との請負契約の部分払い規定や請負代金の支払期日なども考慮して決めるとよいでしょう。