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建設工事では契約書作成が義務づけられているその理由とは?

2021.05.22
分類:経営

建設工事を請け負うときには、契約書を交わしているでしょうか。

昔から馴染みのある取引先の場合、口約束だけで十分!わざわざ契約書を交わす必要などないだろうと考えることもあるようです。

口約束だとしても約束通りに建設工事を行えば問題ないはずという経営者もいるでしょうが、必ず契約書を取り交わすようにしてください。

そこで、建設工事の請負契約において、なぜ契約書が必要なのかご説明します。

建設業は特殊な環境

原則、口約束の場合でも契約は有効となります。それは建設工事以外の請負契約の場合でも同じですが、建設業で工事を請け負いときに契約が有効になるのかという問題と、契約書を交付することは別問題と考えるべきです。

建設業の場合、業態そのものの特殊性から建設業法という法律に従うことになります。

そして建設工事を発注する側と請け負う側では、建設に関する知識にも差があることが多いといえます。それに加え、建設業で契約される金額は高額になり、工期も長めというケースがほとんどです。

このような特殊な環境で業務を請け負う場合、様々なトラブルが発生するリスクも高いと考えるべきでしょう。

口約束だけではトラブルの要因に

予定していた期間で工事が終わらず、工期が伸びてしまったら場合にはどのような対応となるのか、工事が途中で中止になったときの費用は誰が負担するのか、そのようなトラブルに対する事前な取り決めが必要です。

口約束では、後で言った言わないという水掛け論が発生する可能性もあり、発注側の立場が強ければ下請業者は不利な契約を押し通されてしまう可能性さえあります。

契約書は、実際に工事が始まった後で起きるトラブルに未然に防ぐために必要であり、実務・法律上の契約におけるトラブルに備える意味でも重要なことです。

そして建設業の下請契約において契約書を作成し、双方が取り交わすことは法律でも義務付けられています。

 

建設業の下請契約で契約書作成が義務付けられている根拠

契約書を作成しなければならない根拠は、建設業法にあります。

建設業法の第18条では、

「建設工事の請負契約の当事者は、各々の対等な立場における合意に基いて公正な契約を締結し、信義に従って誠実にこれを履行しなければならない」

としています。

続いて第19条でも第18条の規定をもとに、

「建設工事の請負契約の当事者は、前条の趣旨に従って、契約の締結に際して次に掲げる事項を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない。」

という規定がされています。

この第19条にある「書面」こそが「契約書」のことであり、工事が着工されるよりも前に交付しなければなりません。

契約書に盛り込むべき内容についても、第19条に明確に列挙されていますので、必ず確認しておきましょう。