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建設業で重視するのは売上高ではなく利益率?

2019.11.21
分類:経営

建設業を営むとき、経営改善に本気で取り組もうと考えたら、まずは目標の設定から始めることになるでしょう。

そのとき、どのくらい売上を出せばよいか、売上高を目標に掲げる建設会社がほとんどかもしれません。売上を重視させ、前年比より○%アップを目標に!という形を取ることもあるでしょうが、本当に経営を改善させようと思ったときにはまずは利益です。

具体的には必要粗利益額を決めるようにしましょう。

必要粗利益額はどのように決める?

現場の労務費を除いた人件費や事務所運営に係る費用である一般管理費に対し、借入金の支払利息を加え、借入金の元金返済、賞与など社員への待遇改善費、さらに一定の設備投資に予備費などを上乗せすると、健全に経営するために最低限必要とする粗利益を算出できます。

利益率は、売上高に対する粗利益の割合を示しますが、上記の方法で必要粗利益額を決めたら、売上高をどうするか決めることになります。

利益を上げるのなら売上も比例させて上げることが求められますが、売上は受注量を増やすことが必要にありますので、営業や業況の要素に作用される部分も出てきます。

また、受注量を増やせば管理する人員の負担も重くなるので、業務を行う人材が不足していなければよいですが、人手不足の会社では1人にかかる負担が大きくなり、人手がさらに足らなくなる事態を招きかねません。

そのため、できれば受注は現状維持として計画を立て、現状程度の売上で受注現場に原価管理を徹底してもらうことを検討しましょう。それによって目指す必要粗利益額と売上高を決めることがきれば、会社全体が目標とする利益率を出すことが可能となります。

 

利益率の目安となる割合は?

建設業界でも業種はいろいろですので、それにより利益率は異なるでしょうが、目安となるのは20%程度です。

もちろん、この数値より高くても低くても問題ありませんが、いきなり高い利益率で抵抗を感じるなら、低めでも問題ないといえます。いずれの場合でも、必要粗利益額を達成する利益率を把握することが重要であることを忘れないようにしましょう。

顧客の規模や部門種別などでも利益率は異なりますので、規模が大きい工事なら粗利益率は低下しがちで、規模が小さい工事なら高くなると理解しておいてください。

部門ごとに利益率を設定するのなら、過去の受注実績や現状を踏まえた上で、部門ごとの責任者と相談しながら落とし込む作業が必要になるでしょう。