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建設業に2024年4月から適用される労働時間の上限規制とは?

2024.05.21
分類:総務

20204月から、すでに中小企業では時間外労働の上限規制が適用されています。

 建設業では特例による猶予期間が設けられていましたが、20244月からは労働時間の上限規制を守ることが必要です。

 大幅に上限規制を超えた時間外労働や休日労働は、企業名が公表され社会的な信用を失う恐れもあります。

 そもそも違反すれば6か月以下の懲役または30万円以下の罰金の対象となるため、対応が急務です。

 そこで、建設業に20244月から適用される労働時間の上限規制について解説していきます。

時間外労働上限規制とは

 休日労働を含まない時間外労働の上限は、原則、月45時間・年360時間です。

 臨時的な特別の事情がない場合には、この上限を超えることはできません。

 時間外労働と休日労働で月100時間未満、26か月平均80時間以内におさめる必要があります。

 時間外労働の上限規制は、建設業では特例で猶予されていました。

 しかし猶予期間は20243月末で終了し、41日から他の業界と同じく、罰則付きの時間外労働の上限規制がスタートしています。

 違反した場合は、懲役または罰金が使用者に科せられるため、遵守することが必要です。

  

建設業の長時間労働の問題

 建設業の長時間労働は常態化しており、実際、1週間に1日の休日を取ることも難しいといったケースも見られました。

 その背景には現場の慢性的な人手不足が関係しており、作業員1人にかかる負担が増し、完成の期日まで時間がない状況で働いているからといえます。

 しかし20244月からは、残業などの見直しで労働時間の上限規制を守ることが必要とされています。

 上限を超えた労働が必要なときには、労使間で36協定(サブロク協定)を締結することで、1週間15時間・1か月45時間・1年間360時間を上限とした時間外労働が可能です。

  

 特別条項付き36協定による時間外労働の延長とは

 建設業でも繁忙期はあり、完成納期まで時間がないケースも多々あります。

 特に天候不良などで現場作業が進まなかったため、納期まで時間がないといった場合には、時間外労働が求められるでしょう。

 しかし労使間で36協定を結んでいても、その上限を超えた労働が必要になるケースもあります。

 この場合、一定要件を満たして特別条項付き36協定を締結すれば、さらに労働時間の上限をさらに引き上げられます。

 特別条項付き36協定は、繁忙期など特別な事情において締結できる協定であり、通常の36協定の上限を超えた労働が可能です。

 ただし上限を超える労働は年6回までであり、年間720時間以内という上限や、単月で休日労働を含め100時間未満、複数月平均が休日労働を含め80時間以内といった範囲を守ることが必要とされています。

 無制限に労働が可能になるわけではないため、上限を守ることを忘れないようにしてください。