2006年に最低資本金制度が撤廃され、資本金額に下限がなくなり、資本金1円でも会社を設立することができるようになりました。
ただ、資本金は会社の運転資金である上に、社会的信用度を高めるためにも、1円で設立することは好ましいとはいえません。
そこで、建設会社を新規設立するときの準備金として、必要になる資本金はどのくらい必要なのか、その目安や決め方について説明していきます。
資本金とは、会社設立や増資により、出資者から払い込まれたお金のことです。
創業したばかりのときには運転資金の基礎になるため、事業を運営する上でも必要なお金といえます。
融資を受けて手にする資金と違って、返済義務のないお金であることから、金額が大きいほど財務上余力があるといえるでしょう。
出資者からの払込金が資本金になりますが、創業の際には創業者が用意した自己資金がそのまま資本金になることが多いといえます。
以前は、会社形態により資本金の下限額が決まっていたため、まとまったお金がなければ会社は設立できませんでした。
しかし会社法が2006年に改正されてからは、会社設立の資本金の最低金額は撤廃されたため、資本金1円でも株式会社の設立が可能です。
資本金は「会社の体力」ともいわれることもあり、商業登記簿謄本を見れば、どのくらいの資本金額か誰でも確認できます。
そのため会社の社会的信用力を上げたいのなら、できるだけ資本金の金額は大きいほうがよいといえるでしょう。
金融機関に取引口座を開設するときや、融資を受けることを希望するときなども、資本金は影響します。
取引先候補である相手会社の資本金を確認し、取引を始めるか判断される場合にも関係してくるでしょう。
資本金は、事業のためであればさまざまな用途で使うことができるお金ですが、創業者の生活費などに充てることはできません。
反対に創業者の所有するお金すべてを資本金にすることはできますが、個人資産全部を資本金に充ててしまえば、生活が成り立たなくなってしまいます。
会社からお金を借りなければならない状況をつくれば、国や銀行から会社と個人の線引きができていないと判断され、信用度を低下させてしまうでしょう。
資本金額を決めるときには、
・3か月から半年先までの運転資金を準備する
・第三者からの見え方を考慮して金額を設定する
・消費税など税金面も踏まえて金額を設定する
・許認可など条件がないか確認しておく
といったことをポイントにして決めるようにしましょう。
なお事業によって、資本金や純資産に一定の要件が設けられていることがあり、建設業では「一般建設業で純資産500万円、特定建設業で資本金2,000万円かつ純資産全体で4,000万円」といった要件があります。