建設工事業情報ラボConstruction Business Information Lab

工事現場のスタッフを懲戒解雇することはできるのか?要件など解説

2023.11.21
分類:総務

工事現場で働くスタッフの中に、たとえば秩序を乱す者がいたとしたら、現場で働くことにふさわしくないと判断して懲戒解雇したいと考えることもあるでしょう。

 しかし、労働契約を結んだ上で従業員を雇用している以上は、簡単に懲戒解雇することはできません。

 一般的に解雇する場合にも、事前に退職してもらうことを予告することが必要であり、予告がない場合には解雇予告手当を支給しなければならないなど手続を踏むことが必要となります。

 さらにペナルティといえる懲戒解雇は、よほどの特別な事情がなければできないと考えられます。

 そこで、工事現場のスタッフを懲戒解雇することはできるのか、そのための要件などについて解説していきます。

解雇とは

 「解雇」とは、従業員の同意を得ることなく、使用者の一方的な通知で雇用契約を終了させることです。

 大きく種類を分けると、次の3つに分類されます。

 ・整理解雇

・普通解雇

・懲戒解雇

 整理解雇は、経営不振など使用者側の経営の都合による解雇です。

 普通解雇は、経営の都合以外の理由で、労働者との雇用契約を解除します。

 そして懲戒解雇は、労働者に対するペナルティとしての解雇です。

 整理解雇と普通解雇は、労働者に解雇する30日前に解雇予告を行うことが必要となりますが、懲戒解雇では解雇予告なしで即時解雇になります。

 ただ、懲戒解雇の場合でも、労働基準監督署による解雇予告除外認定を受けていなければ、解雇通告手当を支払わなければなりません。

  

懲戒解雇ができないケース

 懲戒解雇は、就業規則に明記しておくことが必要とされています。

 就業規則に、どのような行為において懲戒解雇とするのか記載がなければ、客観的に見たときに会社の秩序を乱す横領などの行為をした従業員がいた場合でも懲戒解雇できません。

 特に従業員10名以下の会社については、就業規則作成の義務はありません。

 そのため就業規則を作成しておらず、雇用契約にも懲戒解雇に関する記載がされていなければ、悪質な行為があっても懲戒解雇できなくなってしまいます。

 また、懲戒解雇は、社会的に見て、合理的理由や社会的相当性が認められることが必要です。

 会社の秩序を乱す行為があった場合でも、特に会社には実損が発生していないケースや、解雇しなくても秩序を回復できる場合には、社会的相当性が認められない可能性もあると留意しておきましょう。

 さらにお懲戒解雇すれば退職金を支払う必要がなくなるわけではありません。

 就業規則に、懲戒解雇された場合には退職金は支給しないことについて明記しておく必要があります。