建設工事業情報ラボConstruction Business Information Lab

建設工事で請負契約書を作成しないと法的手続きに繋がりかねない理由とは?

2022.09.23
分類:リスク

建設工事の請け負いの際には、請負契約書を必ず交わすようにしてください。

請負契約書を作成しなかったことにより、後でトラブルが起きたとき法的手続きにつながるトラブルになってしまうこともあるからです。

そこで、建設工事で請負契約書を作成しないと法的手続きに繋がりかねない理由について解説していきます。

建設工事の請負契約で契約書作成は義務

建設工事以外の請負契約でも口約束により成立しますが、建設業の場合は有効性ではなく、契約内容を書面で残すことに意味があります。

建設業の場合は業態自体が特殊であり、工事の金額も大きくなりがちである上に工事期間も長めです。

契約金額が大きいとトラブルが起こりやすくなるため、工期が予想していたよりも伸びたときや、途中で中止されたときの費用負担など様々なトラブルに対応できるように備えることが必要といえます。

契約書は法律的なトラブルに備えるために必要であると同時に、法律でも作成が義務付けられています。

 

建設業法による契約書作成に関する取り決め

契約書を作成しなければならないことは、建設業法でも第18条で次のように定められています。

「建設工事の請負契約の当事者は、各々の対等な立場における合意に基いて公正な契約を締結し、信義に従って誠実にこれを履行しなければならない。」

さらに第19条でも、次の定めがあります。

「建設工事の請負契約の当事者は、前条の趣旨に従って、契約の締結に際して次に掲げる事項を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない。」

ここで出てくる書面は契約書であり、工事着工前に交付することが必要です。

 

契約書を作成しないことで高まる紛争リスク

建設業法で義務化されている契約書の作成を守らなければ、建設業法に違反する行為と判断されます。

さらに建設業法第19条に違反する行為として行政処分が下され、取得した建設業許可を取り消される可能性も出てくるでしょう。

また、建設業は紛争リスクなども抱えている業種といえますが、契約金額が大きく工期も長い場合で、建設業者と注文者の間の情報量に偏りがあれば、さらに法的手続きへと移行される確率は高くなってしまいます。

紛争が起きれば解決まで時間がかかり、弁護士などに依頼する報酬なども発生してしまうでしょう。

賠償金などが発生すれば、事業継続が厳しくなる可能性もあるため、十分に注意しておくことが必要です。