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建設業務の繁閑時期に対応した年次有給休暇取得を可能とする方法とは?

2023.08.23
分類:総務

 

建設業でも、仕事が多いときもあればそうでないときもあり、従業員には繁忙期と閑散期に対応して年次有給休暇を取得してほしいと考えることはあるでしょう。

 労働基準法第39条でも、従業員が年次有給休暇日数の範囲内で具体的な休暇の始期と終期を時季指定すると、事業の正常な運営を妨げるなど理由として時季変更権が行使されない限り、取得が成立するとされています。

 そのため従業員が求める時季に年次有給休暇を与えなければならないといえますが、取得直前に請求されることや長期の連続年次有給休暇の請求があれば、業務を正常に行うことができない可能性もあります。

 特に建設業では完成までの納期が差し迫ることもあるため、たとえば業務繁忙期に年次有給休暇取得を請求されると、仕事が進まないというケースも少なくないでしょう。

 そこでこのような問題を解決するためにも、建設業務の繁閑時期に対応した年次有給休暇取得を可能とする方法について解説していきます。

 

時季変更権による休暇取得時期の変更が可能

建設業では、完成納期まで時間がなく、まさに業務繁忙期といえる状況も発生しやすいといえます。

しかしこの繁忙期に年次有給休暇を請求されると、たちまち業務が進まなくなる可能性があります。

会社には、事業の正常な運営を妨げる場合には、年次有給休暇取得を他の時季へ変更できる「時季変更権」が与えられています。

 時季変更権の行使の可否については、事業規模・内容・業務内容・繁閑の程度・代替者の配置の難易度など総合して検討されます。

  

1年単位の変形労働時間制を導入するケース

1か月を超え1年以内の一定期間を平均し、1週間あたりの労働時間40時間を超えない労使協定による定めをしていれば、特定された日または週において18時間・110時間を超えても働いてもらえることができます。

そのため繁閑時期に合った勤務シフトを組むこともでき、対象期間が1年以内なら4か月や半年などの期間で採用も可能です。

 なお、1年単位での変形労働時間制においては、労使協定により制度内容を定めておくことが必要となりますので注意しましょう。

  

労使協定で書面化する内容

 「労使協定」とは、使用者と労働者の過半数代表者が協議を行い、決定した内容を書面化した協定です。

 労使協定を結ぶ際には有効期間を定めることも必要であり、締結後は所轄の労働基準監督署への届出も必要となります。

 1年単位の変形労働時間制を導入した場合でも、110時間・152時間を上限とし、連続して労働できる日数も6日までとされます。

 業務が特に繁忙時期にあるという場合には、繁忙期間を特定期間として定め、最大連続12日間働いてもらうことも可能です。

 ただし1年あたり280日、休日は隔週週休2日制に7日(年間85日)を確保することが必要となります。