電気・通信関係の工事などで行われる「回線借用」とは、通信事業者の線路移転や設備保守などの都合上、電気通信事業者が提供する特定顧客の専用線回線を一旦停止させることを指しています。
もし借用が発生する場合、通信事業者は前もってユーザーに申し入れを行い日程が調整される形です。
たとえば企業のネットワーク設計書の構成図では、回線を1つの直線であらわすことが多いといえます。しかし回線を実際に開通させることは簡単ではなく、NTTやKDDIなどのキャリアと呼ばれる通信事業者に動いてもらうことも必要です。
また、ラストワンマイルと呼ばれる光ケーブルを持っていなければ、NTT東西が所有している光ファイバーの未利用分であるダークファイバーを借用して使うことが多いといえます。
道路管理者が敷設した共同溝等地下管路で、たとえばケーブルテレビ事業者などが新規で線路を敷設したくても、空き管路がないといったケースもあります。
自前回線の敷設用自営柱はNTTや電力会社以外の事業者には認められておらず、もともとあるNTTや電力会社の電柱や管路を借用すると、借用料などが高額に発生するといった点も問題になっているようです。
さらに許可の申請手続きを行い、取得まで時間がかかるなど、スムーズに作業が進まないといったこともあります。
決められた条件による添架料や共架料を支払い、さらに共架柱建替料なども発生します。それでも電柱の所有権はNTTや電力会社にあるため、借用した事業者には何の権利も与えられません。
仮にNTTや電力会社の都合で電柱を撤去・移設・建替する場合には、添架している線路の移設などが必要になりますが、その費用も借用した事業者が負担します。
たとえば既存の設備を新たな設備に移行するなら、今収容されている回線を切り替える作業が必要になります。そのとき、回線が一時的に利用できなくなるため、顧客の回線を借りた上で切り替え工事を行うことが必要です。
作業予定を調整する際には、この回線についての借用許可を取得することが大きなポイントとなるものの、NTTなどは局舎内の回線設備に複数の回線が収容され多重化していることから、すべての回線借用を同じ日時で行うことはまずできません。
そのため、顧客の要望に合わせながら切り替え工事が効率的に行えるような作業日程の調整が必要になるといえます。