平成7年に起きた阪神・淡路大震災では、約10万棟という住宅が半壊・倒壊に至ってしまい、約5千人以上の犠牲者の9割程度が住宅倒壊による圧死だったのです。
このような痛ましい被害から、地震の揺れで倒壊してしまう住宅を把握し、耐震補強工事を行うことの重要性が明確にされたといえるでしょう。
昭和56年よりも前に建築された在来工法と呼ばれる木造軸組み住宅の場合、特に耐震性に問題がある住宅が多いといわれていますので、まだ耐震補強工事を行っていないのなら早めの対応が求められるといえるでしょう。
耐震補強工事とは、地震が発生した場合にも建物が倒壊しにくくなるように、基礎部分や壁を補強したり、老朽化した部分を取り替えたりする工事のことです。
劣化した部分や補修が弱い部分を補強するために、主に次のような耐震補強工事が実施されます。
・壁の補強や地震が起きたときに家全体がねじれないようバランスよく耐力壁を配置する
・柱、土台、梁などの構造体の接合部を補強する
・基礎を補修・補強する
・屋根や2階以上の床など水平構面などの補強
・土台や柱など構造体で腐朽・蟻害部分などへの対応
・住宅を軽量化する
耐震診断で建物の構造体に劣化している部分が認められた場合には、補修・交換などを行って安心・安全な状態に戻すことが必要です。
一般的には壁の補強や耐力壁の配置、接合部の補強などが耐震補強工事として多く行われているといえるでしょう。
壁面は内壁だけ補強することもあれば、外壁のみ、または内壁と外壁をセットで施すこともあります。
費用をできるだけ抑えるためには内壁のみとなりますが、建物の造りによっては外壁のみの施工となるケースもあります。
費用は100万円単位で発生することが多いですが、国や地方公共団体などの助成や融資制度を利用することにより、資金面の不安を軽減することもできるでしょう。
なお国と自治体が住宅の耐震補強工事にかかった費用の一部を補助する制度の多くは、上限を100万円としていることが多いようですので確認しておくとよいでしょう。
耐震補強工事を行う際には、設備やデザインを新しいものにするリフォーム工事と一緒に行えば、壁の解体などを二度に渡り行わずに済みます。
一度に解体などを行えばよくなるので、それぞれに実施するよりも費用や打ち合わせなどにかかる時間を削減することができるでしょう。