どれだけ防ごうと注意していても、建設工事現場で労働災害や事故が起きてしまうことはあります。
それでもケガや後遺症を負うことや、生命にかかわることもある労働災害はなくさなければなりませんが、どのように防いでいけばよいのでしょう。
建設工事現場は昔から、墜落・建設機械・倒壊という三大災害が多く発生していることが特徴です。
最も多いのは墜落や転落による災害で、手すりをしっかりと設置していなかったことや、足場を完全に固定していなかったこと、安全帯の使用が十分でなかったなど、本来守るべき基本的な措置ができていなかったことで発生しています。
建設機械やクレーンなどの災害は、用途以外の使い方をしたことや、点検や後方確認を怠ったこと、誘導者の配置ができていなかったことなどが災害の原因となっているようです。
そのためいずれの労働災害も、本来行うべき点検や確認を行っておけば防ぐことができたといえるでしょう。
ただ、建設作業員の高齢化も進み、身体能力の低下から発生する転倒事故なども見られますし、長時間労働などで過労やストレスを抱えミスが発生することによる事故などもあるようです。
労働安全衛生法が改正となり、常時50名以上雇用する事業者は従業員のストレスチェックを実施することが義務付けられています。作業員の状態を確認し、現場の状況に合わせて対策を行っていくことが必要となるでしょう。
大切なのは、それぞれが自分だけは大丈夫だと過信しないことです。機械設備などの安全対策だけでなく、働く作業員の不安全行動をなくすことも必要となるでしょう。
現場で定められたルールを守り、少しくらいは大丈夫だろうと安易に軽率な行動や作業を行わないことです。いくら急いでいる場合でも、作業手順を守り労働災害を発生させないように心がけるようにしてください。
労働災害を防ぐ教育も大切な要素ですし、たとえば夏場には窓を閉め切って行う作業などでは熱中症防止対策として塩飴を配ったり空調服を用意したりといったことも行うとよいでしょう。
工期に追われる中で、安全対策まで考えるのは難しいと思うかもしれませんが、事故が起きればその対応にさらに忙しくなります。そもそも現場で働く人を守ることが大切ですし、事業所そのものを守ることにもつながりますので、重要なことだと認識しておくようにしましょう。