建設工事中、火災が発生してしまうと元請や協力会社の責任問題となるだけでなく、発注者や近隣にも多大な迷惑をかけることになります。
そして工事の工程にも大きな影響を及ぼすこととなり、発注者から再度建て直しを求められるなど、大きな損失を発生させる可能性が高いといえます。
そこで、建設工事中の建築物での防火対策は徹底して行うことが必要となりますが、具体的にどのようなことを実践していけばよいのがご説明します。
令和2年4月には、韓国で新築工事中の倉庫から火災が発生し、亡くなった方は38人にのぼる大きな被害事故が起きています。
このときの出火原因は不明とされていますが、火災は溶接作業を伴う工事作業中に発生しており、断熱材の燃焼などで延焼が急速に拡大してしまったようです。
日本でも東京都多摩市の新築工事中の建物で多数の人的被害を出してしまう火災が発生するなど、建設工事中の建物は出火防止対策を徹底して行う必要があることを再認識することとなりました。
建設工事中の建物で出火防止対策を行うには、次のようなことを実践していきましょう。
〇工事中の建物を管理する場合、次の項目が工事現場の実態に即したものか確認し見直しが必要
・消火器等の点検および整備に関して
・避難経路の維持管理とその案内に関して
・火気使用または取扱い監督に関して
・危険物などの管理に関して
・自衛消防組織に関して
・防火上必要な教育に関して
・消火や通報、避難訓練の実施に関して
・火災や地震、その他災害が発生したときの消火活動、通報連絡、避難誘導に関して
・防火管理、消防機関との連絡に関して
・防炎物品の使用に関して
〇工事作業中には対策が確実に実施可能か再確認する
・たばこや火気管理などの出火防止対策を再度周知し、可燃物の近くで火気を取り扱わないようにするなど出火防止対策徹底を図ること
・消火器の適切な配置を確認し、消火訓練などでは消火器を使い初期消火方法を習得すること
・火災のときの避難を迅速かつ円滑に行うことができるように、避難訓練などで火災である旨を周知する方法や避難経路を確認すること
・火災のときには迅速に119番通報できるように、通報訓練などで通報方法を再確認すること
その他、工事現場で使うポリウレタンなどの断熱材や工事用資材は、火気器具の熱・火花・たばこなど発火源で着火し燃え広がってしまうこともあります。
そのため工事現場でこれらの資材を使用するときには出火防止に努めることが大切です。