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工事で周囲の地盤の土圧が下がると地盤沈下が起きやすくなる?

2022.01.09
分類:リスク

土を掘り返すなどの工事を行ったとき、周囲の地盤の土圧が下がることで地盤強度が弱くなり、地盤沈下を起こすことがあります。

地盤沈下を起こさない対策をした上で工事を行うことが一般的ですが、地盤が水分を多く含むときには、対策を施していたとしても周囲の地盤に影響が出ることがあるため注意が必要です。

そこで、地盤沈下とはどのような状態になることなのか説明していきます。

地盤沈下とはどのような状態のことか

地盤沈下とは、地盤の粘土層の間にある礫・砂層などの間隙に閉じ込められた地下水を過剰揚水し、粘土層から間隙水が絞りだされることで、粘土層が収縮し地面が沈んでしまう現象のことです。

広域での沈下

局地的な沈下

2種類があり、それぞれ地盤が下がるメカニズムなどが異なります。

広域での地盤沈下

広域で地盤が沈むのは、地震など地殻が変動する自然現象が原因の場合もあれば、地下水の多量くみ上げや鉱物・天然ガス採取に伴う掘削など人為的要因が考えられます。

自然現象によるものは、平成23年に発生した東北地方太平洋沖地震で広範囲の地盤沈下が起きたことなどが挙げられます。

地下水の過剰なくみ上げで起きる地盤沈下は、地下水層の上下の粘土層から地下水層に水分が移動し、粘土層が収縮するメカニズムによるものです。

局所的な地盤沈下

局地的な地盤沈下が起きる原因は、近隣で工事を行っていることが影響していることもあれば、盛土や埋戻し土などを要因とする圧密沈下などがあります。

一部のみが傾く不均等な不同沈下の要因がある土地に、何も対策をせず建物を建ててしまうと数年以内に地盤沈下する可能性が高いといえるでしょう。

土を掘り返す工事を行うときには、周囲の地盤の土圧の低下で地盤強度が弱まることを踏まえ、十分に対策を行った上で工事を行うことが重要です。

圧密沈下

圧密とは、土を構成する土粒子・空気・水などの成分のうち、間隙水が時間とともに抜け土が収縮することですが、それにより地盤が沈下するのが圧密沈下です。

盛り土や埋戻し土などで人工的に作られた土地の場合、自然に土が堆積してできた土地よりも時間が経っておらず、収縮しやすい傾向が見られます。

 

地盤沈下による被害

地盤沈下が起きると、

・建物の傾斜・ひび割れ

・道路に凹凸ができる

・橋げたと段差が発生する

・ガスや上下水道など地下配管が破損する

・井戸の抜け上がり

・治水施設やかんがい排水施設が破損する

といった被害が発生します。

間接的被害として、排水が著しく悪化することにより、雨が降ったときにすぐ浸水してしまうなど、日常生活や農業生産に障害が発生することもあるため十分に注意が必要です。