ビルの新築工事や増改築、修繕、リノベーションやリフォームなど、様々な工事が至る場所で行われていますが、この工事に関連して火災が発生することもあります。
実際、東京消防庁管内では毎年100件から200件の火災を確認している状況であり、特に工事現場で行われる溶接や溶断作業では火花が飛散してしまうので注意が必要です。
それ以外にも作業員などが喫煙した火の不始末や、現場に放火されるといったことで火災が発生することもありますので、どのように工事現場からの火災を防ぐべきなのか検討・実行が必要です。
工事現場から出火することを防ぐために、まず周囲は不燃性のシートなどで遮へいすることや、可燃物の除去と消火器などの設置は欠かさず行うようにしてください。
すべての工事において、作業中の遵守事項と任務分担を周知徹底し、消火器などはすべての作業員が使用できるように定期的な訓練も実施することが必要です。
可燃性物品や危険物などの近くでタバコを吸うなど、火気使用は禁止することも大切です。さらに溶接の際には作業場周辺の点検を欠かさず行い、作業中も監視するといったことが求められます。
塗料やシンナーといった危険物品など多く使用することもあるでしょう。これらの危険物品などは不燃性の保管庫などに収納してください。施錠を行うことはもちろんのこと、現場に持ち込む量は必要最小限に抑えておくことも必要です。
夜間は誰も現場にいなくなりますので、工事資器材などをしっかり整理整頓しておき、出入り口はしっかり施錠を掛けておくことが必要です。
延焼を拡大することを防ぐためには、避難通路になる場所に資材などを放置しないこと、防火戸や防火シャッターが閉鎖するときに妨げにならないよう、物品の置場には注意しましょう。
一定規模以上の新築工事の場合、工事現場の作業管理や管理権原を有する工事の受注者などが防火管理者を選任し、選任を受けた防火管理者は消防計画の作成と管轄消防署に対する届出が義務付けられています。
増改築工事などの場合は、防火管理者等が工事中の消防計画を作成し、管轄する消防署に届出を行うことが必要です。
工事現場で火災が発生してしまうと、延焼により周囲に膨大な被害を及ぼすこともありますので、発生させないことはもちろんのこと、万一発生してしまった場合でも最小限の被害に抑えることができるような対策を講じておくようにしてください。