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建設工事現場で起きた事故で第三者に及ぼした損害賠償責任の所在

2020.02.10
分類:リスク

建設工事の現場で事故が起きないよう、細心の注意をはらっていてもときに事故が発生してしまうことはあります。もし工事中に事故が起き、周囲に被害を及ぼした場合の賠償責任は誰が負うこととなるのでしょうか。

法律上は工事業者が責任を負うこととなっています。ただ、例外として施主である発注者がその責任を負うこともあるので、どのようなケースなのか確認しておきましょう。

建設工事中の事故は不法行為に該当する

建物を建築中、または解体中に倒壊してしまい、その付近を通行していた方や隣家などに損害を及ぼす事故は少なくありません。

このような場合、工事業者がその賠償責任を負うことが一般的ではありますが、なぜなら構造物が倒壊するのは設計や施工などのいずれかに過失があるからと考えられるからです。

この過失は、民法上、不法行為として損害賠償責任を負うことが規定されています。

 

工事業者は責任を負っても発注者に責任がないことが一般的?

そして工事業者のうち、発生した事故の原因によって設計や施工、監理のどの業者が責任を負うことになるのか変わってきます。しかし、発注者は原則、賠償責任を負わないことも民法上で規定がされています。

雇用契約なら従業員が事故を起こした場合には、その指揮・監督という立場にある雇主も損害賠償責任を負いますが、請負契約の場合になると、業者が発注者の指揮・監督まで受けることがないので、発注者には責任がないと考えられることが一般的だからです。

 

ケースによって発注者も損害賠償責任を負う

しかし、民法では発注者が責任を負わないことを規定すると同時に、注文または指図に過失があったときはその限りでないとしています。

建設工事に対する注文や指示について、発注者に過失があるケースとは、危険な工事方法の指示や、工事を進めれば事故が発生することが予想できたのに無理に工事を続行させた場合などが該当するでしょう。

発注者の過失の有無は、発注者が素人なら過失として認定されにくく、発注者がプロなら認定も厳しくなるので認められやすくなると考えられます。

 

発注者でも工事中の事故の損害賠償責任を負うことはある!

工事の元請業者が下請業者に委託した場合など、どちらも建設業界の専門業者であることから、注文や指示に危険が伴うかどうかは発注者でも予測できるといえるでしょう。

このように、ケースによって発注者でも損害賠償責任を負うことはあると把握しておくべきといえます。