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建設工事で違法とされる偽装請負とは?典型的なパターンなど紹介

2024.05.30
分類:経営

建築工事や土木工事では、注文者と仕事を請負う請負業者間で契約を結びます。

 委託した作業が完成すれば報酬が支払われる約束について、請負契約をしっかり結んでおくことが必要です。

 請負には、一式請負・分割請負・職別工事別請負・定額請負・単価請負など複数の種類がありますが、いずれの方法においても雇用契約ではないため偽装請負に注意しましょう。

 そこで、建設工事で違法とされる偽装請負について、典型的なパターンなど紹介していきます。

請負とは

 「請負」とは、注文者が請負業者に仕事を委託し、完成後に報酬を支払う約束をする契約です。

 労働者派遣などの場合、派遣元事業主が雇っている労働者を派遣先事業者へ派遣するといった違いがあります。

  

偽装請負とは

 「偽装請負」とは、形式的には請負契約であるものの、実態は労働者派遣である契約です。

 労働派遣でありながら、労働者派遣法や職業安定法などの規制を免れるために、請負契約や準委任契約などの名目で契約を締結します。

 先にも説明したとおり、請負は労働の結果として仕事を完成することを目的とした契約です。

 発注者と受託者の労働者との間で指揮命令関係が発生しないため、仮に発注者から直接的に業務の指示や命令があるのなら、偽装請負である可能性が高いと判断できます。

 偽装請負が行われる理由は、労働基準法による最低賃金規制・割増賃金支払い・有給休暇付与などの義務を免れるためであることや、健康保険・年金・雇用保険などの保険料負担義務を免れるためと考えられます。

  

偽装請負のパターン

 建設業では、労働者派遣法により、労働者派遣事業が禁止されています。

 注文主との間で指揮・命令関係がある場合、名目は請負契約だとしても、実際には労働者派遣法の適用を受けることがあると留意しておきましょう。

 請負契約としながら、注文主が労働者に業務に関する細かい指示を出しているケースや、出退勤や勤務時間の管理を行っているケースは偽装請負の典型的なパターンです。

 偽装請負を行った注文主と請負業者は、労働者派遣法において、許可を受けずに労働者派遣事業を行ったとされるため、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金の対象となります。

 また、職業安定法においても、違法な労働者供給事業と見なされ、同じく1年以下の懲役又は100万円以下の罰金の対象です。

 労働基準法でも、中間搾取とみなされれば、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科されます。

 違反行為を直接行った者や従業員に指示した会社の代表者や管理職など、罰則対象者は会社以外にも広く及ぶケースもあるため行わないようにしてください。