名古屋市中区のリニア中央新幹線・名城非常口の添削工事は2018年12月末から中断していました。その理由は、地下水が湧き出たことですが、2019年11月、11か月ぶりに再開されることとなったわけですが、実はまだまだ不安を抱えた状態です。
2027年開通予定のリニア新幹線ですが、本当に開通に至ることができるのか様々な工事において様々な不安が漂っている状況といえます。
名古屋市中区のリニア中央新幹線・名城非常口は、名古屋城の南側に隣接する場所です。もともとこの辺りの地層は地下水の水位が高く、工事着工前には入念な地質調査が行われていました。
しかし地中にトンネルや構造物を造る土木工事における地下水の状況は、実際に掘ってみなければ分からない部分があるようです。
この地区の地層は水を通す砂礫層と水を通さない粘性土の層が入り乱れ積み重なっているとても複雑な構造です。特に複雑な地層部分に高水圧がかかったことで、湧水が形成されたと考えられています。
掘削作業中断中、掘削部分から湧水が地下から溢れないように非常口内に水を溜め止水工事を行ったようです。
これらの流れにより、当初は2016年4月から9月末までだったものが、中断期間を除く約7か月延長となり、竣工の予定は2021年4月末となりました。
工事開始前の地質調査では一部から基準値以上の特定有害物資である鉛が見つかっていたため、それを取り除いていたことも工期が延びた理由です。
掘削中断や工期延長について、工期全体に影響しないよう進めるとはしているものの、2027年から品川~名古屋間の開通に至ることができるかわかりません。
人材や資材のやりくりには難しさが伴うでしょうし、仮に名城非常口工事の工期は守れたとしても他の現場に遅れのしわ寄せが発生しないとは限らないでしょう。
インフラ更新の土木工事は全国であり、再開発なども目白押しという状況で、技術者や職人の高齢化と人材不足という問題を抱えた状態です。
2027年の開通に向け、複数の関係者を巻き込みながらもスケジュールをどこまで推し進めることができるかかがカギとなります。
同じJRでも、新幹線を持つ北海道、東日本、西日本、九州などは新幹線新設や延伸工事の実績を積んでいます。
そのため経験や技術者のノウハウも比較的新しいのですが、JR東海の場合には東海道新幹線1959年に開通されて以来、路線新設工事の経験が乏しいといえます。今後の渉外力が試されているとも考えられるでしょう。