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道路や鉄道の下に横断構造物を構築する工事で使われるPCR工法とは?

2020.10.11
分類:その他
建設業者が行う工事の中には、鉄道や道路の下に、地下道など横断構造物を構築させることもあります。このとき、供給中の鉄道や道路の下で工事を行うことになるので、安全・確実に作業を行わなければなりません。そのときに用いられるのがPCR工法ですが、どのような方法なのかその内容をご説明します。

PCR工法(Prestressed Concrete Roof method)とは?

交差する鉄道や高速道路など、すでに存在する路線を供用しながらプレキャストPC桁を推進して、トンネル形式や下路桁形式の横断構造物を構築させる非開削工法のことです。

すでに供給されている鉄道や道路の下に、地下道など横断する構造物を確実・経済的に、安全性を保ちながら構築させることを目的として開発された工法とされています。

上部路面を共用しながら、路盤下横断構造物を横断させます。地中に方形断面のPCR桁を並列で推進していき、さらにプレストレスを導入しながら非開削で本体構造物を構築させる方法となっています。

このPCR工法はトンネル形式と下路桁形式という2つの種類があるので、どのような作業内容となるのか知っておきましょう。

箱形トンネル形式

上床版・下床版部について、隣接しているPCR桁同士を水平方向に、側壁部分は鉛直方向にプレストレスを与え一体化させます。床版・側壁接合部を剛結とすることが特徴です。

プレストレス導入の作業空間に鋼製エレメントを配置し、PC鋼線を挿入・緊張します。

PC鋼線はプレグラウトPC鋼材を使い、下床版の閉合に場所打ちコンクリート部を設けます。

下路桁形式

下路桁形式はラーメン橋台形式とU型橋台形式という2つの種類があることが特徴です。

・ラーメン橋台形式…支承・落下防止装置などが必要ない構造で、PCR桁を支持する主桁と橋台が一体で、場所打ち鉄筋コンクリート構造になっていることが特徴といえます。

U型橋台形式…、主桁と床版の上部工と、支持している橋台および側壁の下部工が分離している構造が特徴です。

 

PCR工法の特徴とメリット

PCR桁の推進は、桁先端に同一断面の刃口を装着し刃口内部の土砂を掘削することになります。そのため周囲の地盤は乱すことなく施工することができ、上部の路面や線路などが沈下せずに済みます。

そしてPCR工法による構造物の主要材料は高い強度コンクリートのため、耐久性に優れ耐腐食性保持についても安心できます。

道路や線路などの下にある地中に本体構造物を構築させた後で、トンネル内部の土砂は迅速に機械掘削できる安全な工法です。PCR桁で構成する断面をそのまま本体構造物とするため、仮設や仮受といった付帯工程を省略させることも可能になります。

推進からトンネル内部を掘削するまでの一連作業は機械化・省力化されるので、保安度をより高く保ちながら確実に施工できるといえる工法といえるでしょう。