2020(令和2)年10月1日、建設業法・公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律(入契法)が改正され、主任技術者の配置義務の緩和措置が施行となりました。
この改正は、建設業の働き方改革を促進することや、建設現場の生産性を向上させること、持続できる事業環境を確保することなど様々な観点において行われています。
そして限られた人材を有効活用することを目的としたものが、主任技術者の配置義務緩和措置です。
建設業法に基づいて、工事現場の下請の建設業許可業者は、主任技術者を必ず配置しなければならないとされていました。
しかし建設業界は人手不足が深刻化しており、実務経験者を含む一定の資格を保有する主任技術者を配置することは大きな負担となっていたといえます。
そこで、建設業法を改正させ要件を緩和することになり、新たに専門工事一括管理施工制度が設けられ現場への技術者配置制度が開始される流れとなりました。
ただし下請の主任技術者配置の免除が適用されるのは特定専門工事だけで、すべての建設工事に該当するわけではない点に注意してください。
特定専門工事とは、
・土木一式工事または建築一式工事以外の建設工事
・その施工技術が画一的で、施工技術上の管理を効率化する必要があるものとして政令で定めるもの
・元請が締結した下請契約の請負代金総額が一定金額未満(政令で定める金額未満)であること
とされています。
一式工事には適用されず、専門工事でも工種や金額が政令による条件に合致していなければ対象にはならないということです。
建設工事すべてに適用されるわけではないため注意が必要です。
要件を満たすことで、下請は主任技術者を配置することが免除されます。それには特定専門工事であることに加え、次の要件すべてを満たさなければなりません。
・元請負が注文者の書面で事前に承諾を得ること
・元請と下請が書面で合意すること
・元請の主任技術者が当該特定専門工事と同じ種類の建設工事に関して1年以上の指導監督的実務経験があり工事現場に専任で置かれていること
・下請が更なる下請契約をしないこと
元請とは下請契約の注文者で建設業の許可業者であり、下請とは下請契約を請け負う者です。一次下請も二次下請との関係では元請になるということです。
他にも改正法では、建設工事の注文者に対し著しく短い工期で請負契約を締結することは禁止しており、違反した発注者には勧告などが可能としています。
勧告などの対象になる建設工事の請負代金の下限は500万円(建築一式工事は1千500万円)とされているようです。