建設工事業情報ラボConstruction Business Information Lab

建設現場の騒音や振動はクレームの対象?建設工事の基準とは

2021.12.20
分類:その他

工事を始めた途端、周辺の住民などから騒音や振動などを理由にクレームが出ることがありますが、建設機器や重機などを使用することで音や振動が響くことは少なくありません。

そこで、日中、自宅で過ごす方のストレスになることもある工事現場の騒音や振動について、法律でどのように規制されているのか把握しておきましょう。

「騒音規制法」による工事音への規制

騒音規制法が制定されている目的は、建設工事で発生する相当範囲に渡る騒音に必要な規制を行うことです。

建設・修繕・解体などの工事により、ハンマーでたたく音やドリルが回る音が響き渡れば、それが周辺住民にとって不快なものになってしまうでしょう。

そこで、騒音規制法では、建設工事による騒音を適正なレベルの音に抑え、人々の生活を保護するとしています。

騒音規制法で規制されるのは特定建設作業です。

特定建設作業を行う建設業者は、工事を行う自治体に届出が必要となっています。

もし届出を行わなかったときや、嘘の申告をして届出たとき、改善勧告や命令に従わなかったときには罰金が科せられます。

 

規制される作業時間と騒音の程度

建設作業で認められる騒音の範囲は自治体の判断に委ねられていますが、多くが共通しています。

たとえば東京都の場合には、一般的な住宅地である1号区域での規制は次の通りです。

・工事を行うことができるのは午前7時から午後7時までのうち10時間以内

・連続して工事を行うことができる作業日数は連続して6日まで

・日曜・祝祭日の工事は禁止

・騒音の上限は85デシベルまで

ただ、実際には午前8時や9時からスタートし、日曜だけでなく土曜日も工事をしないことが多いといえます。

周辺住民の方たちが休日ゆっくりと休むことができるように、規制内容で認められている範囲よりも自粛するといった配慮をしている建設業者がほとんどです。

なお、85デシベルという音の大きさはイメージしにくいでしょうが、たとえば地下鉄内で聞こえる音や掃除機の音などは8085デシベルといわれています。

また、東京都では振動規制法により、振動ローラを使った作業や原動機を使う作業などはさらに厳しく制限されることになり、75デシベル以下に抑えることが必要です。

工事の騒音や振動が法律や条例の限度を超える場合や、周辺住民の身体的・精神的・財産的な被害を発生させたときには、不法行為として損害賠償を請求されることもあるため注意してください。