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建設業が抱える問題点の原因は重層下請構造によるもの?

2017.04.24
分類:その他

建設業界を取り巻いている環境は悪化している傾向だといわれています。そのような中でも、震災の復興や東京オリンピックなどの需要の高まりで求人は増えている状況ですが、募集をしても人手不足という状態で今後この問題点をどのように解決していくか検討していく必要があります。


人手不足から余剰に?
団塊世代が大量に退職し、廃業倒産なども増えたことで優秀な技術者や職人は流失している状態です。
学生の建設業離れや企業力低下で新卒者を採用できないといった問題など、特に中小企業にその傾向が強く見られる状態です。
生産年齢人口自体が減少していますので、今後はどの業界でも人手不足が加速していくことが考えられるのですが、構造的に建設投資が減少していることで今度は人手が不足から余剰になる可能性があります。


国の対策は?
ここ数年の人手不足は震災復興や東京オリンピック・パラリンピックなどを要因とした一時的なものと考えられます。
そのためこれらの需要の盛り上がりが収まると、人手不足から一気に余剰になる可能性もあるのです。
国土交通省では供給側の問題となる人手不足対策として、女性や若者が働きやすい環境を構築に取り組んでいます。
体力的な制約がある高齢者や女性でも業務遂行を可能とした、ITやロボットを使うといった方法も進めています。


建設業の重層下請構造が問題
建設業は単品受注生産、現地屋外生産に対応する労働集約型になっています。
そのような理由から生産工程の効率化が困難で、さらに注文者から請け負った仕事の一部を請負人に依頼して、その請負人がさらに下請させるといった重層下請構造になっています。
重層下請構造は総合工事業、専門工事業、設備工事業に階層が分けられ、総合工事業の下に専門工事業や設備工事業が多段階に連なっている構造になっています。この重層下請構造が硬直化して昨今の社会的問題に発展したとも考えられています。
業界全体で硬直化した重層下請構造を改善していかなければ、労働生産性向上による経済的や社会的な効果が中小事業者などの一人当たり付加価値額を向上させることに結びつくことはないでしょう。


中小で取り組むべき策とは?
維持管理工事の比率が上昇していることの策として、IT 投資などの設備投資や人材育成が必要になってくると考えられます。しかし中小事業者が独自に取り組むことはいまだ困難な状況です。
今後はこの重層下請構造の是正のために、施工力のある下請企業が選定されること、生産システムが合理化され、工事の平準化や適正工期の確保といったことが重要な取り組みとして考えられるでしょう。今後、さらに国がどのような策に乗り出すのかが注目されるところでもあります。