建設工事業情報ラボConstruction Business Information Lab

建設業の統計からみる今後浮き彫りになる問題とは?

2017.11.27
分類:その他


日本でどのくらい新しい住宅が建設されたかという統計に「国内住宅着工件数」がありますが、この統計には戸建住宅、分譲マンション、賃貸マンションなど全ての種類の住宅を含んでいます。
この様なデータから、今建設業がどの様な問題に直面しているのか検証していきましょう。


国内住宅着工件数から見る現状
バブル期と言われる1986~1990年度の住宅着工件数は170万戸が当たり前のラインでしたが、1991~2000年度というバブル崩壊期には120万戸を割らないラインまで低下し、リーマンショックを背景に2009~2012年度には100万戸を下回りました。
現在は回復期と考えられていますが、低位安定といった状態で建設業界にしてみれば潤っているとは言い難い状況だと考えられます。


公共事業国家予算の動きは?
道路事業などに国から割り振られる予算である公共事業国家予算も、国内住宅着工件数と似た動きになっています。
バブル期は10~15兆円だったものが、バブル崩壊後年々カットされ7~11兆円、さらにはリーマンショックを背景に6~10兆円となり、2016年度予算は6兆円まで引き下げになっています。


ゼネコンの海外進出は成功する?
このような統計だけでなく、人口減少で市場が縮小される事も目に見えています。東京五輪の需要で回復しているのでは?と思うかもしれませんが、その後生き残るために活路を見出すなら海外に事業を展開していく努力も必要になるでしょう。
しかし既に東南アジアには大手が手を伸ばしている状態で、中国や韓国なども既に検討しているはずです。


海外進出で成功が難しいと予想される理由
海外ではデザイン事務所や建築事務所のほうが強い立場にあるので、日本のようにゼネコンが強い立場である訳ではありません。仮にゼネコンが海外で稼ごうとすれば、日系ディベロッパーから仕事の依頼を受けるしかないとも考えられます。
ディベロッパーについても問題があり、途上国の場合には土地の所有は政府なので借地権は発行されても購入する事ができません。さらに良い条件の土地は地元の人が押さえているので、例え手に入れる事ができたとしても高値づかみになる可能性が高い事から儲けに繋がらない可能性があります。


景気に左右されやすい事を理解しておく
建設業界は国内の景気に左右されやすい業界です。
不景気で給料が減れば、人は家を買う事をためらいます。
税収が減る事によって公共事業も減少すれば請け負う仕事も減ります。
さらに今後日本が抱える人口減少問題により、住宅やマンション、オフィスもだんだんと必要なくなるでしょう。
それに加えて少子化による労働者不足の問題、後継者不足による技術継承問題など、様々な問題を今後解決していく必要があると考えられます。