どの業界や業種でも、会社では労働条件などを定めた就業規則を準備していますが、その中に「服務規律」に関する規定を定めていることもあります。
会社で守るべきルールについてしっかり明記しておくことは大切といえますが、服務規律の重要性や懲戒処分について簡単に解説していきます。
服務規律とは、従業員が守らなければならないルールや義務であり、行動規範ともいえます。
会社で服務規律を定めることは義務づけられているわけではないものの、会社の秩序を維持する上でも就業規則で定めておいたほうがよいといえます。
明文化しておけば従業員の意識を高めることができ、労働トラブルを防ぐことにもつながるでしょう。
また、服務規律の内容については会社により様々といえますが、一般的には勤怠ルール・会社設備の利用方法・身だしなみなどで、次のような項目です。
・就業に関する規律
・企業財産の管理・保全の規律
・労働者の地位・身分による規律
服務規律は、会社の秩序を守る上での従業員の認識を統一することが目的です。
仮にルールを設けず曖昧なままで運営していれば、好き勝手な行動で協調性を失います。
結果として生産性低下や定着率の低下、セクハラやパワハラの温床になる可能性があります。
ハラスメント行為があった場合には、会社が責任を問われることが多いため、服務規律を定めルール管理していた根拠を示すようにするとよいでしょう。
また、服務規律で従業員の遵守すべき義務について、たとえば勤務時間中は仕事に専念することが必要であることや、私的行為を控えることが必要であることなど定めておくこともおすすめします。
労働契約を締結すると同時に発生するのが従業員の遵守すべき義務であるものの、明文化しておくことでより安心できます。
服務規律に違反した場合には、就業規則で懲戒事由に定めがあれば処分対象とすることができます。
ただし必ず懲戒処分の対象とすることができるとも限らず、実際には違反した内容や程度に対する処分の重さなど考慮して対応することが必要になります。
適切な処分を行うために、本人にヒアリングしたり関係者や周辺に聞き取りしたりするなど事実関係を調査し、証拠なども収集した上で処分を決定しましょう。
服務規律違反で会社に損害が発生した場合には、該当する労働者に損害賠償請求することもできます。