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建設業で注意した建設現場における苦情対応について

2018.03.05
分類:その他

建設業において、工事現場などでの騒音などでクレームや苦情を受けるというケースもあるでしょう。
クレーム内容の内訳として多い順は、「建設作業の騒音」「工場や事業場の騒音」「店舗等の営業の騒音」となっており、事業を営む以上、避けることが出来ないものばかりです。
しかし周辺住民からクレームを受けた場合、放置するのではなく何らかの対応に迫られることになるので、どのように対処して良いかを検討しておく必要があるでしょう。


賠償金が発生するのは「受忍限度」が基準
まず、周辺住民から工事現場の騒音に対する苦情で裁判になった場合、賠償金の支払いが命じられる基準となるのは、近隣住民に与える騒音や振動、悪臭など、生活に関係する部分での不利益が「受忍限度を超える範囲であるか」という部分です。
すべての騒音が賠償金支払いの対象になるわけではなく、騒音や振動などが、社会通念上において、一般の人たちが我慢できる被害の程度かで判断されます。


防音対策を行うことが必要
近隣住民に与えた騒音や振動などの被害が、この受忍限度を超えているかで対応していく方法も違ってきます。
受忍限度を超えている場合は、防音対策による騒音レベルを下げることを行う必要があります。
防音対策を行わなければ、賠償金などの支払いを命じられることになると考えておきましょう。
受忍限度を超えていない場合で、賠償金などの支払いを命じられないとしても、住民から理解してもらえる様に、できるだけ防音対策は必要です。


建設現場での騒音の規制基準は?
受忍限度とは、法律上の許容範囲とも言いかえる事が出来ますので、この基準の判断は騒音規制法で規定されている基準を超えているかで確認されると考えておきましょう。
騒音規制法は工事の騒音などについて、都道府県知事が規制地域や音量などへの規制基準を定めています。
東京都の建築工事や解体工事における騒音の規制基準を例に挙げると、作業内容に応じて80~85デシベル以下であることが基準になっています。


80デシベルの大きさとはどのくらい?
デシベルという単位は音の大きさを表していますので、数値が大きいほど音が大きいと考えてください。
なお、人が静かだと感じるデシベルは45以下と言われています。
建築工事で認められる80デシベルという大きさは、地下鉄の車内の騒音程度ですので、かなり耳につく状態であることが分かると思います。
そのかわり1日の作業時間や連続作業日数などに制限が設けられるなど、別の規制もあるので注意しましょう。


悪質なクレームには毅然と対応することも大切
「規制基準を超える=受忍限度を超える」ということになるので、この場合、近隣住民から慰謝料を請求され、過去の裁判例では100~200万円程度の慰謝料を支払わなければならなくなるケースも多く見られます。
できる限り騒音を生じさせない努力も必要ですが、事業騒音は社会生活上、許容されないと成り立たない部分もあります。
あまりにも執拗な苦情やクレーム、悪質な金銭要求などには毅然とした対応を行うことも必要です。