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建設業の長時間実施される残業は将来的に罰則の対象になる!

2018.05.07
分類:その他
メディアでは過労死の実態などが報道される中、日本の働き方改革実現に向けての動きはさらに大きくなっています。 2019年4月には、長時間労働を規制する「改正労働基準法」施行がされる予定であり、月100時間以上の残業は違法になりますので、建設業も規制対象です。 そこで、今後、改正労働基準法が施行された5年後までに使用者が知っておかなければならないことなどを、事前に確認しておくようにしましょう。

労働基準法の規則の定めから労災に該当するケースを確認!

労働基準法の規則の中には、労災として認められる長時間労働の基準が含まれています。 まずは脳血管疾患や虚血性心疾患など、心臓に対して負担があった場合、そしてうつ病など心理的負荷による精神障害です。 心臓に対する負担があったケースとは、発症する1か月前までの期間に100時間を超える時間外労働があった場合や、発症する前の2~6か月の期間に80時間以上の残業が続いたという場合です。 精神障害と認められるのは、心理的に大きな負担となる精神や行動の障害、疾病などです。例えば激しく上司などから怒鳴られた、人格否定を受けたという場合などで、発症する6か月前までの間に業務での強い心理的負担を受けたケースが該当します。

建設業における働き方改革の重要性

現行の労働基準法においては、1日8時間、1週で40時間での労働時間という制限が設けられています。使用者と雇用される側で36協定を結んでいれば、月45時間、または年間360時間まで時間を拡大することは可能です。 しかし建設業の場合には、特別条項の36協定を結ぶことで残業時間に上限がなくなってしまうため、労働基準法の枠外での働き方が可能でした。 新しい改正労働基準法では、上限規制は変更ありませんが、36協定での上限を超えた労働時間は罰則規定が設けられます。 建設業は5年遅れで規定が適用されることになるため、体制整備が必要だと言えるでしょう。

具体的にどのような対策が必要?

改正労働基準法が施行されて5年経過すれば、建設業も改正労働基準法が適用されることになります。そのため、2024年までに長時間労働を低減させる必要がありますので、どのような対策を優先して実施するべきか考えて行かなければなりません。 法令順守はもちろんのこと、長時間労働の原因になる業務を廃止または簡略化し、時にはICT技術を活用することや機械化すること、ICカードやパソコンなどで勤怠管理を行うことも必要です。 また、就業規則を整備して、役員や社員に対して労働法の教育を行うこと、さらにストレスチェック制度を活用するといったことも検討していくようにしましょう。

コミュニケーションが取れる職場環境であることが重要!

現場でコミュニケーションが希薄になっているということはないでしょうか。社員が孤立しやすい労働環境にあると、コミュニケーションが希薄となりやすいと言えます。 社内でのコミュニケーション不足により信頼関係を築くことができなければ、精神的負担を重くするという可能性もありますし誰かに相談したくてもできません。 コミュニケーションが取れる環境を整備することも、自社の職場環境改善の1つと理解しておく必要があるでしょう。